「紙でプロレス ソリチュード」

紙でプロレスソリチュード

紙でプロレスソリチュード

かつて「世の中とプロレスする雑誌」と定義された伝説的雑誌、「紙のプロレス」があった。むかしむかし、この雑誌を作った2人の男の対談本である。この雑誌は山口日昇編集長のもとで続いておりオレも好きで読んでいるのだが、現在は世の中とプロレスする雑誌ではなくむしろプロレス村とプロレスする雑誌にスケールダウンしている。ま、マニア的にはそれはそれで面白いのだが。
プロレスは他に比類なきジャンルである。プロレスを好きだということは、例えばデゴイチが好きだとか玉子焼きが好きだとかサッカーが好きだとか巨人が好きだいうこととは歴然と違う。オレはものの考え方のほとんど全てをプロレスを考えることから学んだ。この本で対談している2人の男も同じである。はっきり言ってこんな本、世間の人は誰も読まない。誰も読まない本の中で、最高レベルの知性と感性によるプロレスが行なわれているのである。それを読む特権は、プロレスを考え続けてきた我々だけが持っているのだ。一生を通じてプロレスを考えるということには素質と才能と、プロレスに差し出す人生が必要なのである。紙プロが最も世の中とプロレスしていた日々を、この本は甦らせてくれた。どいつもこいつも、ザマ見やがれ!