「風の谷のナウシカ」

テレビで「風の谷のナウシカ」をやっている。いきなり「スタジオジブリ作品」と出てびっくりする。そんなアホな! あの頃、ジブリなんか影も形もなかったぞ。どっちみち徳間資本なんだからかまわねえだろうということか。或いはジブリに権利を移したのか。宮崎映画のDVDはすべて「ジブリがいっぱいコレクション」という冠でリリースされているから、たぶんDVD版「風の谷のナウシカ」にも同様のクレジットが入っており、テレビの放送素材もDVDと同じマザーから出しているのだろうな。
だが第1次UWF新生UWFではないし、Uインターはキングダムではないし、反選手会同盟平成維震軍ではないし、トップクラフトジブリではないのだ。オレが文句を言う筋合いは何もないのだが、歴史を書き換えられたようであまりいい気持ちはしない。
久々に観たが、面白えなあ。カヴァやんには悪いけど、観客の側から言うとアニメーションの技術の進歩はやはり瑣末なことでしかないと思うなあ。「ナウシカ」の技術があればもう進歩しなくてもいいよとさえ思う。「ナウシカ」を観ると、「千と千尋の神隠し」の技術がなんぼのもんやねんと思うよ。アニメーションは(実は特撮もそうなのだが)、技術はあんまり屁の突っ張りにはならなくて、圧倒的に「芸」の世界なのではなかろうか。オレは「技術の進歩が新しい表現を可能にする」というような考えかたをまるで信じていない。極端な話、王蟲がCGで描かれていたら多分こんなに愛せないだろう。
今さらながら気づいたのは、「ナウシカ」が「大国に蹂躙される小国」の姿をかなり念入りに見せていたことだ。「ルパン」からの流れもあり、以前のオレはあんなのは宮崎駿の軍事オタ宴会芸だとばかり思っていて、それは後にモデルグラフィックスの「雑想ノート」を読んで確信に変わったりしていたのだけど、それでもこの世相で、この年になって『ナウシカ』を観るといろいろと感じるところはある。例えばペジテのアスベルと風の谷のナウシカはそれぞれの国で似たような立場のはずなのに、ナウシカは谷のみんなに慕われていて、アスベルは仲間に背後から拳銃の台尻でドツかれて失神させられる。うーん、やはりカワイイって得だ(そんな結論かよ)。

風の谷のナウシカ [DVD]

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