HERO’S 2007開幕戦・名古屋レインボーホール

テレビ観戦。
柴田勝頼vs山本宜久
1R0分09秒、TKOで柴田の勝ち。
オレは、今の柴田くんに文句はない。3年ほど前に武蔵に「K-1のKは腰抜けのK!」と啖呵を切ったら「キング・オブ・スポーツwww IWGPチャンピオンはボブ・サップwww K−1こそキング・オブ・スポーツwwwww」とバカにされて乱闘して盛り上げた挙句にリングに上がったらいきなり仲良くプロレスやってたのが少し引っかかっている程度だ。すっかり細くなったパンクラス的肉体(要はブルース・リーに憧れた船木が理想とする肉体)を見れば、ああキツい練習をしたんだろうなとは想像できる。
問題はヤマヨシである。今日の試合を観て感じたのは、もうヤマヨシは壊れているんだなあ、ということだ。…いや実はそれも嘘で、そんなもんずっと前からヤマヨシ壊れてんなとは思ってたんだよ! そんなことは判ってんだよ! イキのよかった若手時代のイメージはもはやなく、反応の鈍いモサモサした動き、内臓が悪そうな顔色、ダメージの蓄積が原因と思われる妙な打たれ弱さ。コメントもボソボソ喋っててみっともないんだよな。
レフェリーに試合を止められてポワーンとしているヤマヨシの姿を見ながら、この人の人生はどうなってしまうんだろうと思った。もうなんかねえ、お腹が痛くなるんだよ。我が青春のRINGS JAPAN…「リングスの子ら」の中で、現在のヤマヨシは最も泥にまみれ、みっともない醜態を晒している。しかしかつてヤマヨシは将来を嘱望された前田道場のエースだったのだ。前田日明のリングスルール引退試合の相手は、ヤマヨシが務めたのだ。オレはそれを98年の横浜アリーナで、確かに観たのだ。
小川直也を殴ったり新日本で乱闘したりしたけど、プロレスに骨を埋める気はなかったんだろう。総合の選手としては一介のフリー選手で、活動の基盤になる道場もない。高田道場に身を寄せたときは「ヤマヨシもようやく身を固めるのかな」と思ったが、長続きしなかった。
長井、坂田、成瀬らは腹をくくってプロレスに齧りつき、必死で生きている。高阪は自分の城を構え、誰からも尊敬される男になった。横井は総合とプロレスを行ったりきたりの活躍。田村は恐るべきプロレスセンスで総合の世界をしたたかに生き抜く魔性の悪女。金ちゃんは負け続けてもみんなから愛されるボヤキング。滑川も地味に頑張っている。ヤマケンは苦労続きの波乱の人生だが、思想を持つ彼をオレは心配しない。
みんな人生の中に自分なりの何かを発見し、自分なりの生き方を見つけ、タフに生きているのだ。
オレは何も、ヤマヨシの人生を否定したいわけではない。ただ圧倒的にヤマヨシ情報が少ない状況で、たまに見る姿が高田に叱られたりキム・ミンスに首絞められたりドン・フライに根性負けしたり柴田くんに9秒でノサれたりなので、流石に心配してしまうのだ。ヤマヨシは、人生に何かを見つけることができたのだろうか。
いつか、心から笑うヤマヨシをオレは見たい。まあヤマヨシの笑顔なんて気持ち悪いに決まってるから「ヤマヨシの笑顔は気持ち悪い」とは絶対言うんだけど、それでもそんな悪態をつける時がくればいいなと思う。「喉の奥に引っかかった魚の小骨」とはかつて北野誠木村健悟を指して言った言葉だが、オレにとっては今のヤマヨシがそういう存在なのだろう。