- 作者: 柳澤健
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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オレは著者が1976年当時に何を思い、何を感じていたかを知りたかった。1976年、著者は16歳。猪木を知らなかった筈はないのだ。資料から再構成した歴史は冷たい。当時を知る人の証言は熱を宿すが、それを並べる著者の姿勢は冷徹で、どこか他人事だ。オレが読みたいのは記憶、それも極めて個人的な人生に絡む記憶を読みたいのだ。たとえて言うならば、村松友視が幼き日に目撃した巨大な黒い影(力道山)のような記憶を。「1976年のアントニオ猪木」は、あと半歩のところで血の通う文学になり損ねているような気がする。要するに「お前はどうなんだよ、はっきりしろよ!」ということだ。しかしまあ、極めて重要な本であることに間違いはないので皆さん読むように。