新日本プロレス 1.4 東京ドーム

性懲りもなく行って参りました、永田さんを観るために。ペェイ!

中西が第3試合。普通に前座だよ。TNAのアビスというデクノボーとのシングルだったが、中西の方が遥かにデクノボーだった。煽りVでは「大中西ジャーマンでお前の首を…(セリフ忘れて)…なんやったっけ?」などと笑わせる。中西の人間像それ自体は悪くないのだ。それが試合になるとグダグダと無残なもので、これではただの力持ちの人だ。豊登以下だ。

藤波を加えたレジェンド軍は10人タッグ。彼らが「レジェンド軍」を名乗っていることから突っ込んでいくとキリがないのでそれはいいとして、まあ動けなくなったポンコツばかりです。試合は彼らのおなじみムーブをチラ見せするだけの顔見世興行、花相撲。体をいたわるご老体の代りに率先して技を受けまくるのが野上(AKIRA)で、このメンツの中だと完全に若手の役回り。まともに動けるのが野上ぐらいしかいないから仕方ないのだけど、野上も新日を辞めてはや幾星霜、舞台もやったマッスルにも出た、それなりに何をやらせてもどこに出しても恥ずかしくない男になっている筈である(藤波の方がよほど恥ずかしい)。それでも逃れられない呪縛が長州政権下の体育会系ヒエラルキーなのだろうか。

藤波の会場人気にイライラ。西村のことで最近ちょっと「ドラゴンかわいそう」ムードはあるものの、所詮はゆるい正月気分の中のパンダ人気、風呂の中の屁、小池の旦那ならぬかおりの旦那なのだ。しかし藤波自身は「ファンはオレを支持してくれている」とか本気で思ってそうで、そんな藤波の内面を勝手に想像してイライラを募らせていた。お前は一生東スポ読んで城巡りしてりゃいいんだよ。

3Dの試合で、ようやくまともなプロレス。真壁と矢野が単純なヒールであることも幸いした。ああ、あんなにバカにしていたけれど、ここに天山がいてもよかったかもしれぬ。天山、もう体がダメなんだろうなあ。あいつそんなにキツい試合してたかなあ。

ムタさんは、試合中のヴォルテージは低いのに終わってみればそれなりに満足、といういつものムタプロレス。若手の後藤洋央紀くんはなかなか難しいお年頃のようで、ムタプロを壊すでもなく呑まれるでもなく中途半端な試合ぶり。しかしねえ、思いっきり合わせて、思いっきり呑みこまれて、キャリーするのもひとつの度量ですよ。

永田さんの試合はズバ抜けていた。相手が超一流カート・アングルであることを差し引いても、永田さんの試合は飛び抜けて面白い。例えば、足を攻められる〜永田さん痛がる〜がんばれ永田さん〜永田さん反撃、というよくある流れ。はっきり言ってこんなのはプロレス基本中の基本、当たり前すぎて語るまでもない普通の展開だ。しかしこんな当たり前のことが当たり前にできてちゃんと機能している試合、このセミファイナルに至るまでひとつもなかったのだ。情けないことである。同様にアングルの足4の字をひっくり返せるかどうかの攻防、こんな場面オレは今まで8千回くらい見てきたし、そんなもんひっくり返そうが返せまいがどうでもいいからお前ら寝っ転がってないでさっさと立てよと思ってしまうのが常なのだが、しかしこの時は永田さんの顔芸を観ていると知らず知らずのうちによーし返せ永田さん、がんばれ永田さん、ブルージャスティス永田さん、という気にさせられていくのである。スレきったウヒヒプオタであるわたくしをド素人の坊やに回帰させてしまう、これはまぎれもなく60億分の1の顔芸であると感じた。永田対アングルはきわめて当たり前の、古くさいプロレスだ。そこには驚きもなければ、新しさもない。しかし実に面白いプロレスだった。そして、そう感じるほどに新日全体のレベルが落ちているということを実感させられたのだ。中西とかなあ…

メインの棚橋と中邑については、当然いろいろな文句が死ぬほどたくさんあるのだが、それなりに会場の若いファンから応援されている2人を見、まあこれはこれでこの子たちのプロレス、この子たちの青春なのであろう、オレがトロフィー投げつけて「格好つけんな!」とかどうこう言うのもアレですなー、なんて思いました。