「崖の上のポニョ」を観た

日曜の夜、クソシネコンの呼び声高い新宿バルト9にてDLP上映の「崖の上のポニョ」。
とにかく客層の幅広いことに圧倒される。親子連れやオシャレカップルたちから、我々の如きスネ毛ボーボーのパットン大戦車軍団まで多種多様。ああこれが大衆、これが世間なのだ。こないだ歌舞伎町で「ランボー 最後の戦場」観たときはパットン大戦車軍団しかいなかったのに。
映画は、というか宮崎駿はメチャクチャ狂っていた。その狂いっぷりたるや、いや感想はいずれ書きますが、だがしかし、これさえも世間はまた呑みこんでしまうのだろうなあ。世間にとってジブリアニメ(そもそもこの「ジブリアニメ」という言い方が気に喰わない)はとっくの昔に批評の対象ではなくなっている。たとえるなら給食のようなものだ。ただ出たものを当たり前に食べるだけ。食べないという選択肢さえ見えてない人が、ずいぶんたくさんいるぜ。世間も狂っているのだ。日本中が狂っているのだ。1億人の狂鬼人間(怪奇大作戦 第24話)なのだ。
オレが大いに不満なのは、黒澤明の晩年なんかクソミソに言われたわけでしょう。黒澤の晩年にもいい映画はあったし、たとえダメ映画でもいい瞬間はあった。それでも新作が公開されるたびに、クソジジイ早く死ねコラみたいなトーンで映画雑誌や大新聞から総攻撃されてたよな。されてたよなあ! イーエそんなことないなんて言わせません。オレははっきり覚えておるのだ。
ひるがえって宮崎駿、これいったいどうなってんだ。ボケっぷりと狂いっぷりは黒澤の比じゃないのに、たぶん「ポニョ」は今年最大のヒット映画で、大メディアでの批判は事実上一切許されない。これを天皇といわずしてなんと言う。ヤマザキ、ミヤザキを撃て! とオクザキも言ってた。言ってないけど。
しかし、それでもなお「ポニョ」は相当面白かった。ウヒヒ的にも、映画的にも。

崖の上のポニョ [DVD]

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