「少年野球は誰のもの?」加賀山耕一

先日の話に関連して、少年野球のあり方に疑問を投げかける本を読んでみた。なるほどオレの感じたモヤモヤした疑問、ノリノリで楽しんでいる大人たちに比べて子どもたちがさほど楽しそうに見えないという違和感が、きちんと整理されて論じられている。

今日の少年野球を、あらゆる先入観を取り払って眺めてみると、じつはそのグラウンドに立てる満足度という点で、子どもが野球をする喜びより、野球好きの大人が監督コーチをできる幸せのほうがはるかに大きいのではないか、という疑念を払拭するだけの材料はみつからない。これは大人のための仕組みではないか、子どもをダシに使った大人のレジャーの一つではないか、ストレス解消に子どもを怒鳴っているのではないか、とまで一息に疑い得るほど大人のほうが夢中になる営みではないか。

大きな問題は「遊び」の喪失なのだな。なんとなく集まって「野球しようぜ」ではじまる野球、年少のガキは三振じゃなく五振にしてやろうとか、三角ベースとか透明ランナーとか、やってるうちに形成されてゆく独自ルールとか。そういうガチャガチャを排除して、大人が教える「正しい野球」を小学生が整然とやってる気持ち悪さだったのだ。
たとえば「サンドロット/僕らがいた夏」なんて映画は「遊びの野球」の魅力にあふれてて、野球に興味ないオレから見てもずいぶん楽しそうでしたよ。