「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破」感想

御無沙汰しております。現在、1週間足らずの夏休みを過ごしております。サマーウォーズ観たり、ギャラクティカ観たり、あちこちの銭湯に通ったりの平和な毎日です。
CinemaScapeに書いた「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破」の感想を転載。

山岡「この味噌汁はできそこないだ。明日、もう一度この水族館に来てください。本物の味噌汁をご覧に入れますよ」 (★3)
荒事満載でたいへん面白いし映像のクオリティも最高で、凄まじい快楽を与えてくれるエンターテインメントである。しかし、いまさらオレが庵野と信頼関係を結ぶわけにはいかないのだ。そもそも、我々と庵野の間に信頼関係なんかカケラもなかったのだ。

先日、深夜にテレビ版の再放送をしていたので懐かしいなと思ってちょっと観たんですがね、まあ新劇場版に比べて画面のショボイこと。ペラッペラで動きゃしねえ。しかしどのアニメよりも、殺伐とした緊張感がある。この「信頼関係のなさ」が「エヴァンゲリオン」というアニメを特別なものにしていた筈なのだ。夏エヴァなんか銀幕からクソぶっかけてきたんだぜ。

今回の新劇場版は、約束事に身を預けきった純プロレスだ。内容は昔の試合より遥かにハードでアクロバティックになっている。しかしここに本物の怒り、本物の鬱屈、本物の怨念は存在しない。だってポカポカしたいとか言ってんだもんよお。だ、堕落ですよ!

エヴァンゲリオン」とは、信頼なき相手との手探りのプロレスであった筈なのだ。もしかしたらいきなり裏切ってサミングかましてくるかもしれない相手。受身のとれないスープレックスを仕掛けてくるローラン・ボックとの試合のような、スティッフ(堅い)な手触りに震える体験だったのだ。

新劇場版「破」は、やってることは昔より遥かに凄いのにあんまり興奮しない。昔の「エヴァンゲリオン」が猟奇殺人現場なら、新劇場版は五反田のサドマゾショーだ。庵野は再び観客と信頼関係を結ぼうと手を差し伸べているのだが、オレはそんな手は日本刀で切り落としてしまいたい。庵野だって、まさか本気でこの純プロレス、約束事の中のルーチャを信じているわけじゃないんだろ? 本当はポカポカしたいとか全然思ってないんだろ? 完結編で手ひどく裏切りすべて台無しにするための前フリなんだろ? なに違うの? 離婚しろ!