「ハート・ロッカー」感想

「大人になると、大好きなものは少なくなるんだ」(★3)
そのたったひとつの大好きなものが爆弾処理とは、アナタまたよりにもよってなんというかアレですよね… と思うものの、まーここで言う「大好きなもの」ってのは自分にしかできないこと、意義がありそうなこと、生の実感を得られる何かといった何かしら「よきもの」のことだよな。これをやるためにオレはこの世にいるんだ、というようなもの。

冒頭の「戦争は麻薬でっせ」みたいな字幕がへんだ。主人公はスーパー爆弾処理マンとして活躍する前半がいちばん戦争中毒に見える。それがだんだん、うまくいかなくてへこんでいく。ただの弱い人間に戻っていく。最終的に弱い人間のままそれでも戦地に戻るのが映画のラストなんだが、このへんの心境はちょっと平和ボケの僕ちゃんの想像を絶している。

オレは「竜二」というヤクザ映画が大嫌いで、それはそもそもヤクザが大嫌いだからという子供みたいな理由なんだけど、この映画の主人公には竜二さんのようないやらしさを全然感じなかった。実は竜二さんこそがバリバリの麻薬中毒で、この映画の主人公は麻薬を脱した人だったんじゃないかと思う。

ハート・ロッカー [DVD]

ハート・ロッカー [DVD]