さいきん読んだ本

アニメーション監督 原恵一

アニメーション監督 原恵一

日本を代表する映画監督のひとり、原恵一の紹介本。浜野保樹氏は、昔読んだキューブリックの分析が実に的確で面白かったので好きな書き手である。「クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦」公開後に出た本なので、「河童のクゥと夏休み」や「カラフル」の記述はない。 だから今読むと物足りないのだが、逆に言えば当時「しんちゃん」しか実績のない映画監督の単行本の企画を通したんだから慧眼というか、まーそれだけ「オトナ帝国」「戦国大合戦」の2本は「事件」だった、ということなんだろうな。

映画というテクノロジー経験 (視覚文化叢書)

映画というテクノロジー経験 (視覚文化叢書)

「列車の到着」や「工場の出口」などの、映画黎明期の話が面白い。その後の論評考察も読みやすくて楽しいんだけど、どうも論じられる作品のチョイスと文体がシネフィル的というか、蓮實重彦影響下というか、アカデミック気どってんじゃねえぞコラという気がしないでもない。たとえばオレは小津安二郎だってけっこう好きだけど、「オレが考える、なるべく公平な映画の歴史」においては小津10人よりもハリーハウゼン円谷英二の方が遥かに重要な人物だ。ま、お好みは人それぞれでいいんですけどね。