底辺から見る宇宙 「宇宙探索編集部」

「宇宙探索編集部」「宇宙探索編集部」を観るために、週末に高知に行ってきた。この映画は文化荒廃県・香川では上映されなかったので、上映してくれたゴトゴトシネマさんに感謝します。高知には他にも毎週末上映会をやってるシネマ四国さんもあって、皆さん…

ミスター珍と、力道山

1994年刊ミスター珍が亡くなる前年に刊行された著書、「万病息災 糖尿地獄からの生還」を読む。こんな本が出ていたことは全然話題にならなかったし、こんな本を読んだのは流智美と吉田豪とGスピ編集部ぐらいなんじゃないかと思う。タイトル通りミスター珍の…

「夜明けのすべて」 上白石萌音のモコモコ装備

モコモコのマフラー「夜明けのすべて」を観てきました。三宅唱監督の前作「ケイコ 目を澄ませて」がよかったのと、みんな大好き上白石萌音が出てるからである。よかったですよ。以下感想。あ、「指で月を隠す映画」ってのは劇中2人の会話に出てくるんですよ…

邦題イマイチだが傑作 「理想郷」

ヤーねえ田舎ってウンコくさくって…先日、松山に足を伸ばして観てきたスペイン映画「理想郷」。高松でもあと2週間待てば上映するんだけど、どうにも待ってられなかった。そしてオレの勘は当たった。たいへんな傑作だったのでご紹介。以下感想、ネタバレ満載…

「シン・ちむどんどん」 日本が植民地支配する島で

日本映画専門チャンネルで放送された「シン・ちむどんどん」のRECを観た。プチ鹿島氏とダースレイダー氏が大島新プロデュースで作った「劇場版センキョナンデス」の続編だ。もともとはお二方のyoutube番組「ヒルカラナンデス」があって、いや、説明めんどく…

竹内さんと「PERFECT BLUE」と今敏

モンスターとして描かれるストーカーくん。今敏の人間観が出てる先週末は大変だった。金曜の夜に香川の宇多津で「PERFECT BLUE」の4Kリバイバルを観た。そのまま瀬戸大橋を渡り、土曜朝から岡山で「バーナデット ママは行方不明」。夕方には広島で「PIGGY」…

気に喰わねえ 「アリスとテレスのまぼろし工場」

「アリスとテレスのまぼろし工場」を観てきた。岡田麿里の前(監督)作「さよならの朝にナントカカントカ」は円盤で観て、気に喰わねえな気持ち悪いなと思ったものだ。「アリスとテレスのまぼろし工場」は劇場で観たわけだが、気に喰わねえな気持ち悪いなと…

鈴木敏夫プロパガンダ 「天才の思考 高畑勲と宮崎駿」

天才の思考 高畑勲と宮崎駿 (文春新書)作者:鈴木 敏夫文藝春秋Amazon2019年(高畑勲死去の翌年)に出た文春新書。鈴木敏夫の口述本で、高畑・宮崎を中心にジブリの足跡を語っている。言うまでもなく鈴木敏夫史観によるジブリ史であり、鈴木敏夫に都合のいい…

「君たちはどう生きるか」の胎内めぐり

宮崎駿の新作「君たちはどう生きるか」を観てきましたよ。いやあ凄いもん観ましたねえ。こんな凄いもんが、2023年のこの国で生まれるなんて本当にビックリですね。以下、読まんでもいいような感想ですが、内容に触れてます。皆さん一刻も早く観てくださいね…

あの日観た映画の映写環境を僕達はまだ知らない

わたくし今日、愛媛に密航して「フリークスアウト」を観てきたんですよ。フリークスアウト Blu-ray&DVD [Blu-ray]クラウディオ・サンタマリア,アウロラ・ジョヴィナッツォ,ピエトロ・カステリット,ジャンカルロ・マルティーニAmazon大傑作「皆はこう呼んだ…

我々と無関係じゃない 「聖地には蜘蛛が巣を張る」

アリ・アッバシ監督といえば世界最重要監督のひとりである。いやーそれほどじゃないでしょ、という人もそりゃいるだろうがオレのブログでオレが思ってることを断定して書くことに何のためらいがあろうか。世界最重要監督のひとりだとオレが言ったらそうなの…

「シン・仮面ライダー」 感想未満のブツブツ

「ドキュメント「シン・仮面ライダー」 ヒーローアクション 挑戦の舞台裏」より前回の感想記事を書いたあと、Twitterで「シン・仮面ライダー」について風呂の屁のようにブツブツ呟いてた断片をまとめます。なんだかブツブツ言いたくなる変な映画なんだよな、…

なぜ作る 「シン・仮面ライダー」

庵野秀明監督作品「シン・仮面ライダー」を観てきましたよ。わたくし仮面ライダーは全然興味なくて、ちゃんと観たのが先日の白石和彌監督の「仮面ライダーBLACK SUN」のみ。あれにも結構な文句があるけど、少なくともやりたいことは伝わるし、3割くらいは好…

「ベネデッタ」 史上最高のプロレス映画

おはよう諸君。バーホーベン先生の新作が少し遅れて高松で公開されたので観てきたよ。これ、正式に18禁映画なんだなあ。オレは全然、子どもに観せてもいいと思うけどなあ(エロいことはエロい)。網膜剥離の手術から日が浅く、右目にはまだガスが入っている…

右目と左目、弱り目に祟り目

人さまに読んでいただくにはつまらない話なのだが、自分にとっては結構な大事件だったのでここに書いておく。あのー、病気とか手術とか痛そうな話が苦手な人は読まないでね。

「すずめの戸締まり」 フィクションと現実、そしてクイズ

出崎アニメみたいな坂道レイアウト『すずめの戸締まり』Blu-rayスタンダード・エディション [Blu-ray]トーホー(TOHO)Amazon新海誠先生の最新作、「すずめの戸締まり」を観てきたよ。わけあって2回観ました。以下、CinemaScapeに投稿したクソ長いネタバレ感想…

猪木ゆく

10.1に猪木が死んで、なんとなく心ここにあらず状態で2週間ほど経った。数年前から覚悟していたので、訃報そのものに驚きはなかった。生前葬もやってたしなあ。年とって病気で死ぬなんて、非常識な猪木にしては常識的だ。しかし自分にとって猪木のいない地球…

わたくしと安倍と暗殺とカルト

安倍晋三暗殺とその後の10日間について、自分の気分を自分の視点で書いておこうと思う。言うまでもなく、こんなもん書きなぐったっていいことなんかひとつもないのだ。罵倒され馬鹿にされ嫌われるのは明らかで、繊細なボクチャンの心はズタズタに傷つくだろ…

時代の気分、子供の不在 「シン・ウルトラマン」

シン・ウルトラマン Blu-ray2枚組 [Blu-ray]斎藤工Amazon「ウルトラマン」はオレにとって大切な作品で、そっとしておいてほしいのである。オレは各ウルトラシリーズをちゃんと観てない、というか全然観てないが、「ウルトラマン」は大切な作品だ。とりわけ「…

「英雄の証明」 社会のバグと、愚かで悲しい我々

どうしてこんなことに徳島に密航して、アスガー・ファルハディ監督の新作「英雄の証明」。10年くらい前にファルハディ監督の「別離」を観て、なんだよなんだよイラン映画ってこんな達人が映画作ってんのかよ、と驚かされたものだ。今作は昨年のカンヌ映画祭…

「牛久」 我々は税金を払っている。彼らが殺されているのに(追記あり)

この1年ほど待ちに待っていたドキュメンタリー映画「牛久」をようやく観た。当初は「牛久 比類なき不正義」というタイトルだったが、サブタイトルは削ったようだ。以下、Cinemascapeに書いた感想。 良心的納税拒否をしたくなる

「白い牛のバラッド」 It's hard out here for a widow.

イランでは上映禁止。ホラー映画の「各国で上映禁止!」じゃなくて、マジのやつ。イラン映画の「白い牛のバラッド」。極東の島国の田舎にいながら、行ったこともないイランの問題を我が事のように感じられる。こういうのが映画のいいところだよなあ。淀川さ…

映画「香川1区」 未来は先の見えないハイウェイ

香川1区 [DVD]小川淳也Amazon長いけど、前作の感想を貼っておく。今作の感想はもっと長いのだが。pencroft.hatenablog.comまたしても自分語りになるのを平にご容赦いただきたい。前作は「わたくしが高松にいなかった17年」を描いた作品だった。しかし今作は…

淡くて薄くて不鮮明 「サマーゴースト」

「サマーゴースト」Blu-ray(通常版)エイベックス・ピクチャーズAmazon知った瞬間からこれ絶対ヤバい物件ですよ欠陥住宅ですよとウヒウヒ騒いでいたアニメ「サマーゴースト」。我ながら性格悪いとは思いつつ、ufotableCINEMAで観てきました。ストーリーは各自…

「アイの歌声を聴かせて」 掃除ロボでいっぱいの未来

アイの歌声を聴かせて(Blu-ray)バンダイナムコアーツAmazon 「わたしは真悟」がベースだとか…「アイの歌声を聴かせて」は予告編を観ても面白そうに思えず、絵柄もあんまり好みじゃなく、観るつもりのなかったアニメーション映画だ。しかし公開されるとやたら…

切実の外の世間 「由宇子の天秤」

由宇子の天秤瀧内公美Amazon松山に密航して「由宇子の天秤」。ハッキリ言っていい映画なので、皆さん観るとよいと思います。 追いこみかたが怖い由宇子さん 冒頭のプレビュー場面で心当たりがありすぎてゲロ吐きそうになった。力作です。 (★4)

異界の超人たち 「くじらびと」

くじらびと [Blu-ray]マクザムAmazon四国高松から、遠い遠い神戸に映画を観に行ってきましたよ。神戸といえば、むかし神戸らんぷ亭って牛丼屋ありましたね。あれ知ってますか、関東圏のみのチェーンで神戸関係なかったんですよ。驚いたねどうも。映画はドキ…

「サイダーのように言葉が湧き上がる」で不可解が積もる

サイダーのように言葉が湧き上がる(BD通常版) [Blu-ray]市川染五郎(八代目)Amazon毎日死ぬほど暑いですね。皆さんオリンピック見てますか! ぼくは見てません。アニメ観てきました。以下、ネタバレ あるけどそういう問題ではない気がします。観てない人には…

Uはお前なんだよ 「竜とそばかすの姫」

「竜とそばかすの姫」Blu-rayスタンダード・エディション中村佳穂Amazon細田守監督の新作「竜とそばかすの姫」。「時かけ」以外の細田作品を毎度毎度けなしているわたくしが劇場で観てきました。けなしながらも観てしまう、イヤミではなくこれは細田監督の力…

南の島でCQB 「Coo 遠い海から来たクー」

CS放送で1993年のアニメーション映画「Coo 遠い海から来たクー」をはじめて観た。なぜか円盤化されてない作品。景山民夫の原作は未読。「格闘技元年」「黒船の年」である1993年は、今作以外にもスピルバーグの「ジュラシック・パーク」、角川春樹の「REX 恐…