PRIDE30回顧、ジョシュのこと

取り急ぎ訂正。桜庭対ケンシャムを裁いたのは、ヤドカリ島田レフェリーではなかった。スポナビの写真を見たら全然違う人だった。ありゃ主催者の意図を汲んだレフェリングだろという感想は変わらないが、えらい基本的な事実を思いっきり勘違いしてたわけでお恥ずかしい。

ジョシュは残念だった。試合の前夜、ミルコバカの友人は「ジョシュはスキだらけ、蹴りでも突きでも何でも入りますよ」と言っていた。オレは「みるこハモウ死ンデイル! 今からでもバックドロップやナガタロックII、はたまたエメラルド・フロウジョン或いはドクター・ボムのディフェンスと受身を練習しておいたほうがいいぜ」とフカシてた。結局どちらも間違っておった。

オレは、ジョシュがミルコをバックドロップで投げることを本気で期待していた。いまだミルコ相手に本気でバックドロップを狙った対戦相手はいない。それをジョシュが実行すれば、バックドロップなど想定していないミルコは真っ逆さまにマットに落とされて失神、ジョシュも往年のジャンボよろしく「やりすぎた」と反省すること必至である。またバカなことばかり書いていると思われるかもしれないが、かつてモハメッド・アリはアントニオ猪木と闘うにあたってフレッド・ブラシーを参謀に迎え、プロレスのセメントの危険性について学んでいたではないか。流石としか言いようがない。超一流のファイターとはかくあるべしだ。

ジョシュは確かにミルコの打撃、その致死性をほぼ無効化してみせた。それは戦前の予想通りだったのだが、オレはその先を見たかった。見られると思っていた。まさかその攻防で一杯になってマウントだのサイドだの取られる羽目になるとは、思ってもいなかった。そりゃあポジション取られたところで極められやしないが、ジョシュが判定への影響を考えぬわけもなく、やはりあれは取られたくないのに取られていたんだ。乗られたくないのに乗られていたんだ。まったく残念だ。

ジョシュは、誰も頼んでいないのにプロレスを背負って闘ってくれている。それはメチャクチャ嬉しいし、ジョシュのプロレス愛に満ちた発言を聞いたり読んだりするたびに感激するのだが、じゃあプロレスとプロレスファンがジョシュに何をしてやれたのかを考えるとオレは心苦しいのだ。

今度、ジョシュはU-STYLE Axisとかいう田村興行に出るらしい。オレたちの青春の忘れ形見であるところのU、オレたちが愛したUのその残党は今、ビッグマウスラウドだのアクシズだのエルガイツ(えっ)だのと少ないパイを奪いあって牽制しあい、キナ臭い限りだ。ジョシュだの所だのといったUWFへの思いを背負って闘ってくれている現役選手たちに、本当に申し訳ないような気持ちになる。恥ずかしいような気持ちになる。所選手が前田日明を慕ってくれるのは我が事のように嬉しいのだが、前田は平気で「高田には貸しはあっても借りはない。もう一生会うことはない」とか言うでしょう。所選手はそんな台詞、絶対聞きたくないと思うんだよな。いや、オレが聞きたくないんだよ!
死に体の新日本プロレスを背負って闘ってくれたジョシュを、新日はないがしろにした。願わくば田村よ、商売のためにジョシュを傷つけないでくれ。どうかジョシュを失望させないでくれ。頼むわホント。