柳龍拳先生が凄すぎる件・続き

id:Dersu:20061009 で書いた話の続き。
なんでも有名サイト「探偵ファイル」からの刺客であるアマ総合格闘家と、柳龍拳先生の他流試合が決定したそうだ。まあ決定といっても本当に実現するかどうかは判りませんが。
一介のプオタとして、わたくしこの件にはいろいろな興味があります。まず合気道家の「試合」が公開されるのは極めて珍しいことだ。合気で試合を取り入れている派は合気道S.A.ぐらいで、これはおいそれと試合の映像を観られるものではない。しかもそこで行われるのはたぶん合気道家と合気道家の試合で、それってド素人が見ても何やってるのかよく判らないんじゃないかと思うのだ。今回は合気道、しかもこの場合はずいぶんオカルティックな合気道が他流と試合をするということなので、それだけでもかなり興奮するのであります。
加えてアマ総合格闘家36歳、柳龍拳先生65歳という年齢差。もし、もし万が一ですよ、柳先生がメチャ弱いだけのヨボヨボ電波おじいちゃんだった場合、36歳のアマ格闘家はおじいちゃんの顔面を本気で殴れるのだろうか。極めて濃縮された短い時間のうちに、ものすごい文学的葛藤が彼を襲うのではないだろうか。
しかしオレがこの試合のことを知っていちばん驚いたのは、不意に自分の中に湧き上がった「柳先生もうやっちゃってください!」という感情だった。この試合のハッピーエンドとは何かを考えると、これは柳先生がメチャクチャ強くてアマ格闘家を子供扱いして圧勝するしかないのではないか、と思ったのだ。
柳龍拳先生のサイトを読めば読むほど、それホンマかいなと思わされる記述ばかりだ。正直言ってインチキ臭いですよ。ド素人が読んで普通に胡散臭いですよ。「大東流合気道」が近代合気道のルーツである武田惣角植芝盛平ラインとは別ラインであるという主張からしてどこまで信じていいのやら、それ堀辺正史先生が昔言ってた「骨法は平安時代から伝わる一子相伝暗殺拳法」みたいなフカシちゃいますのん、と思ってしまうのであります。
失礼なことを書いてしまうと、そもそも合気道それ自体が少しばかり胡散臭いものとして世間から見做されている武道だ。合気道の「達人」イメージといえば何はなくとも塩田剛三先生に尽きるのであるが、「あんなチビのおじいちゃんがホンマに強いんか」、「弟子が自分で飛んどるだけやん」、「チェ・ホンマンに勝てるんか」、「キミィ、地上最強はアリクイだよ!」などという世間の声も根強かろう。そもそもこのインチキ臭さは合気道の先生方が「気」というものの存在を言い出したからだと思うのだが、合気道はそういった偏見に晒されながらもなんとか負けずに生き残ってきたジャンルだ。オレはこれ、立派なことだと思う。ひとくちに合気道といっても本物からニセモノまでいろいろあるだろうという前提と、本物とニセモノの区別など我々ド素人には一切判らないという前提のうえで、巨大な幻想を背負うジャンルでありロマン輝くエステールであるところの合気道がオレは好きだ。どうかその幻想を壊さないでほしい、またもし壊すくらいならいっそ何も実証しないでほしい、現状維持してほしいという気持ちがある。部外者の勝手な言い分だが、そう思っているのは事実だ。
だからねえ、合気道の中でも抜きんでてインチキ臭い柳龍拳先生が、最新の総合スキルを身につけたアマ格闘家を神秘の技でチョイナチョイナと転がして、「ワシももう年じゃのう」とか言って即座に引退してくれたら、これほどウットリするハッピーエンドはないよなあと、わりと本気で思っちゃうんだよなあ。
そんなことを考えていたら、YouTube柳龍拳先生の動画を見つけました。

あー… せ、先生…
そ、総合スキルとか関係ねえって! 合気でチョイナチョイナだって! やってやるって! 本隊潰すって!