国会図書館の記憶

国立国会図書館で調べもの。時間と精神に余裕がある場合の国会図書館は素晴らしい場所で、ここにおよそ国内のあらゆる知が集結しているのだと考えるだけで幸福になる。膨大な蔵書はたぶん地下の書庫に格納されているのであろうが、一度覗いてみたいものだ。
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data_operat_03environment.html
こういうのを読むと興奮しますな。
オレがはじめて国会図書館を訪れたのは十数年前で、60年代に集英社が出版したジュール・ヴェルヌ全集を探すことが目的だった。二十歳前後だった当時のオレは、多摩川のちょい西にある生田というところに住んでいた。まだ世間の狭い若手にとって東京のド真ん中に出かけるのは実にめんどくさかったのだが、電車でノコノコと永田町に行って、慣れぬパソコン操作に苦戦しつつ(職員に教えてもらったりして)目当ての全集を検索したものだ。そうだ、あの頃のオレはパソコンなんか持ってなかった。携帯電話も持ってなかった。インターネットなんか触ったこともなかった。汚れを知らぬ清い体だったのである。神保町の古本屋を這いずり回っても見つからなかったヴェルヌ全集があっさり出てきたことに感激したオレは、数日間にわたって国会図書館に入りびたり未読のヴェルヌ作品を貪り読んだ。読み終わってみると、なるほどこれらの作品が絶版になっているのは仕方がないと思った。代表的傑作群に比べると、ズバリ言って全然面白くなかったのだ。しかしそれでも、今思えばあれはなかなかいい体験だったと思う。