HERO’S 2007ミドル級世界王者決定トーナメント決勝戦 横浜アリーナ

TBSの当日ディレイ放送、テレビ観戦。
オレが愛するセルゲイ・ハリトーノフの試合がカットされていたので、仕方なく桜庭vs柴田のことでも書いておく。
柴田は勢いある全力疾走入場(コケて前転つき)。好感は持てる。しかしなんだか閉めておくべきフタが開いてしまっている感じがして、この人はたぶん今日勝たないなと判ってしまった。もっと溜めて、秘めて、色気を滴らせないとダメよ。
試合は新弟子への可愛がりといった様相。まあ、桜庭がひどい目に遭わなくてホッとした。
さて今回気になったのは、柴田のパンツである。いや、実は山本戦のときからすでに気になってはいたのだ。柴田のパンツはプロレスではありふれている黒のショートタイツなのだが、これがオレにはどうしてもプロレスラーのショートタイツに見えなかった。オレにはそれが、AV男優がよく穿いている黒いビキニパンツに見えたのである。なんとなくヒワイなのである。
村松友視はさすが活字プロレスの祖、27年前の名著「私、プロレスの味方です」においてすでにこの問題に触れている。

たとえば、プロレスラーのはいているタイツ。あの、ロング・タイツではない短いタイツは、海水パンツとちょっと区別がつきにくいでしょう。実際の具体的なちがいはよくわからないし、もしかしたら海水パンツとまったく同じかもしれないという気もする。だが、そんなことは問題ではない。あれが海水パンツに見えるかレスラーのタイツに見えるか、これが問題なのです。
ある団体の前座レスラー。肥満体はいいとしても、タイツがどう見ても海水パンツにしか見えない。おまけに前座レスラーはガウンを使用する例が少ない。せめてものコスチュームだと思ったか、大きなタオルを肩にかけ、下駄をはいて登場してきた。下駄を脱ぎタオルを肩からはずして試合開始だ。タッグ・マッチであり彼は先発しなかったので、タッグ・ロープを律儀に握ってコーナーで待機していた。
その日、私はリングサイド最前列、したがって彼をまぢかに見上げることになった。
どこかで見たことのある感じだと思って想像をめぐらせていた私に、突如、少年の日の記憶がよみがえってきた。
静岡県は清水、あの羽衣で知られた三保の海水浴場。
もうクラゲが出始めていたから、夏休みも終わりに近かっただろう。
(中略。海水浴場の思い出、ヤグラの上にいたアルバイト監視員の肥満学生の姿が鮮やかに蘇る)
幼い日の記憶は快いものだが、それを呼び起こすものがプロレスラーであるのは許せない。少なくとも格闘の場にいるものが、メガホンを首からぶら下げた阿呆面と何らかの共通点を持っているのが不愉快だった。
そう思いながら次々と試合を見てゆくと、海水パンツはちゃんとタイツに移行してゆき、さすがメイン・イベントの主役レスラーたちからは、過ぎし夏の光景は浮かぶすべもなかったのである。

私、プロレスの味方です

柴田のパンツがAV男優に見えたのは、なにもオレがAVばかり観ているからではない(観てるけど)。プロレスラーのショートタイツを穿き、それがちゃんとプロレスラーのタイツに見えるためには、鍛えぬかれた堂々たる体躯、リアル(真実)ではなくリアリティー(真実味)をまとった肉体が必要なのだ。しかるに柴田くんの肉体はそこらにいる兄ちゃんみたいでショボい、ショボすぎるのである。だからAV男優に見えるのである*1
いや実はああいう細身の肉体こそがアスリート的に、或いは総合格闘技的に、パンクラス的に船木さん的には理想なのかもしれないよ。しかしそんなもんはオレの知ったことではないのである。ショートタイツが似合うという意味でなら、さらに若い健介オフィスの中嶋くんのほうがよっぽどプロレスラーしている。今の柴田はショートタイツを穿くべきではない。同じく貧相なアスリート体型の格闘家たちのように、短パンの長いやつみたいなのでも穿いておればよろしい。もし柴田くんなりにショートタイツにこだわりがあるのならば、もう船木さんと一緒にいてはいけない。長州とサイパンに行って、プロテインを飲むべきなのだ。

*1:ちなみにモノホンのAV男優であるチョコボール向井は、AVの中でビキニパンツを穿いていてもむしろプロレスラーにしか見えない。