12.31 Dynamite!! 〜勇気のチカラ2009〜

あけましておめでとうござんす。昨日の大晦日は、自宅で友人とテレビ観戦。

魔裟斗嫌いのオレは、戦極との提携が発表されて以来「吉田対石井を売るしかない」と言い続けてきた。必然性を感じない戦極とDREAMの対抗戦には物語がなさそうだったし、魔裟斗は嫌いだし(そもそも引退試合が最も期待される大晦日なんて終わってる。「魔裟斗引退興行」ならともかく)、世間に届く試合は吉田対石井しかないだろうと思ったのだ。柔道から総合へ転出したパイオニアであり、社会的にも名士である金メダリスト吉田、対するは総合ありきの時代の柔道家、古き日本人的価値観を破壊する新時代のモンスター石井、この2人の哲学や感覚の違いをこれでもかと売り、どうにかして物語に仕立てるしかないだろうと思っていた。

ただ、今回プロモーターは提携すること自体に精一杯で、グダグダのまま大晦日当日を迎えた。オレは最も楽しみな試合、最もテンションを上げる試合をどこにも設定できぬまま、なんとなくテレビを見た。マーそれでも格闘技だから、ほどほどに面白かったよ。

終わってみれば、青木真也ひとりが何もかもすべてをかっさらっていった大晦日だった。そもそも、戦前のピリピリしたムードは悪くなかった。ただ「親の顔に泥を塗られた」という青木の発言があり、そんな舞台裏の事情わし知らんがなと思ったので距離をとり、なんとなく静観していたのだ。そしたら試合がアレですよ。

北岡戦しか記憶にないけど、廣田選手だってごっつい強いわけでしょう。その廣田に何もさせなかった青木は凄すぎる。非常に貧相な肉体をした細い目の青木が、毒蜘蛛のように廣田の四肢を絡めとって、ズリズリとマウントになって腕とってひどいことをした。警官が犯人を捕縛するようにも見えた。あーこいつ元警官か、まったく警官なんてロクなもんじゃないよ。青木は、その寝技だけで性格の悪さが理解できる稀有なファイターだ。

腕折り、或いは中指立てての侮辱行為は世間の反感も買うだろう。しかしねえ、あれってメチャクチャ強いスーパーマンだけができることなんですよ。普通はあれが出来る場所まで辿り着けないわけですよ。本当は、石井が吉田にこれぐらいの差を見せつけて圧勝しなければならなかったんだよな。なにしろ青木は銭のとれる試合をしたよ。はい、というわけで大晦日のMVPは文句なしで青木! 心配なのは廣田! さよなら魔裟斗! 柴田はマグロ! 今年もよろしくお願いします。

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青木真也の総合格闘技入門

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