「隣の家の少女」(映画版)感想

隣の家の少女」観ました。ご存知ジャック・ケッチャム先生の最高傑作「ガール・ネクスト・ドア」の映画化。

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

渋谷でやってる時には忙しくて行けなかったのだが、知らないうちにDVDになってたのだな。

充分に気分悪いけど、それでもこれはケッチャムの「隣の家の少女」ではない。(★3)
この映画、主人公の少年が正義の味方すぎるのだ。

ケッチャムの「隣の家の少女」の少年は迷いと混乱の中で虐待を看過し、時に参加し、時に正当化さえする。少年の逡巡は、虐待そのものよりも恐ろしい。少年のゆらぎと同じゆらぎが自分の中に存在することが、何よりも恐ろしい。ケッチャムは「お前もそうなんだろ?」と問うてくる。こんな本、読まなければよかったと心から思う。しかし、読むべきだった、読んでよかったのだとも思っている。

映画はこの部分をバッサリ切った。主人公は「無力ゆえ虐待を防げなかった少年」であり、この体験から「気持ちが大切なんだ」と学んだという。まあ君はそれでいいかもしれんけど、それは、全然、まったく「隣の家の少女」じゃないよな。

たぶん、トビー・フーパーが「悪魔のいけにえ」と同じ予算で撮ればよかったんだ。「隣の家の少女」を映画にしようと思った時点で、商業的な成功は諦めなきゃいけないよな。

隣の家の少女 [DVD]

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