ドキュメンタリー映画 「はりぼて」

地方政治に巣食う屑の皆さん

はりぼて

はりぼて

  • 山根基世
Amazon

地元のミニシアターで、富山市議会の腐敗をチューリップテレビの報道チームが暴くドキュメンタリー映画「はりぼて」を観た。はぁーりぼぉてぇ はりぼぉーてぇ(森本レオの声で)。判るな?

「王立宇宙軍」より

全員クソ野郎 (★4)


本当に驚くほど悪人、屑しか出てこないので驚かされる。どこまでも腐った富山市議会、じゃあ膿を出して改革しましょうと正義ヅラでやってくるやつらも全員屑。どこを切ってもポッキン金太郎状態。


すげえ脂っこい顔をした(カラダ大丈夫か?)森雅志市長は、別に犯罪やらかしたわけではない。しかし市議会の様々な問題について何を質問されても「お答えする立場にない」と制度論を盾にして、あらゆる対話を打ちきってしまう。じゃあお前は何についてならお答えする立場にあるんだよ、と誰もが思う。なんで他人事みたいな顔ができるんだ。これは悪夢のような安倍晋三政権下で散々見せられた菅義偉内閣官房長官(当時)の人格を内面化した、パロディ的存在なのである。こういうミニ安倍、ミニ菅みたいなのが日本中にゴロゴロいるんだよな。2020年現在、この男は富山市の市長であり続けている。


腐った政権が続く国政は必然的に、全国各地に無数の腐った地方政治を生み出す。だってそれでうまくいってんのを、国会中継で見てんだもんな。国会審議中に居眠りしてる議員がいるんだから、市議会で居眠りしたって構わないとなる。ウソの領収書なんか、誰でもやってるお家芸なんだ。倫理の荒廃は民草へと降ってゆく。なにイイコちゃんぶってんだよ、いいか見ておけ、成功するやつはこうやるんだ。それは国の中枢から大衆に発信される邪悪なメッセージで、強烈な誘惑でもある。


コメディ調の進行に潜む怒りは、やはりコメディ調のインサートや場面替わりでかなり露骨に示される。タヌキの信楽焼、ニワトリのコケコッコ、カラスのカーカー。カラスの糞を掃除するおじさんたち。カラス居座り禁止の看板。カラスにエサを与え続け、居座りを許したのは誰なのか。なんとビックリ、富山市民なんだな。


放っておくと政治は必ず腐敗する。例外もあってよさそうなもんだが、なにしろ必ず腐敗する。腐敗は市民の怠慢、有権者の無関心の影でたゆまず進行する。要するに皆さん政治に関心持ちましょうねというありふれた話なんだが、それにしてもこの腐敗ラッシュ、謝罪ラッシュ、土下座ラッシュには圧倒される。


映画の最後には、この腐敗を報道で告発してきたチューリップテレビでさえ、権力の影響から無縁ではいられないことが示唆される。ディレクターは異動になり、キャスターは退社する。それでも社に残ったスタッフの尽力もあって、これはどうにか映画になった。でもDVDにはならないかもな。


印象に残るのは、ディレクターが異動による別れを告げに五本幸正市議(政務活動費の不正~返還)を訪れる場面だ。カメラに対してまたお前らかとヒステリックに拒絶していた五本が、用件がディレクターの別れの挨拶であることを知るや、だんだん顔が晴れ晴れとしてきて元気を取り戻し、オウ、まーチミもいろいろあるだろうけど頑張りたまえといった「政治家の雰囲気」をジワリ、グググッと出してくるさまがハッキリと映像で記録されている。オレはこんなものを見たいと思ったことは今までの人生で一度もないが、いやーおそろしいもんを見せられたな。こういう連中はちょっと、とてもオレなんかの手には負えないなあ。そして2020年現在も、この男は富山市議会議員であり続けているのだ、センセイ。


以下は余談。この映画を観たのは2020年10月香川県高松市内のミニシアターで、あるうららかな日曜夕方の回、客はオレ含めて4~5人だった。映画が始まる直前、予告編が終わって映画ドロボーやってる最中に、高そうなスーツをシュッと着こなした中年男と明らかに子分っぽい2人の男が入場してきてオレの前の座席に並んで座り(オレはちょっとイラッとした)、映画が終わってエンドロールが流れ始めるやいなやそろって即座に席を立って劇場を出ていった。自分でもなぜだか判らないがオレは慌ててその男たちを追って劇場を出た。すっかり暗くなった路上で、スーツ男はスマホでどこかに電話をかけて何やら話をしており、子分たちはなんとなく周りに立っていた。オレは目を伏せて立ち去った。オレは人の顔をあんまり覚えられない男なのであれが香川県議なのか高松市議なのか、秘書なのか部下なのかお友達なのか全然ちっとも判らないが明らかにトーシロじゃねえ、オヌシも腐れ政界のハリボテ野郎だなとボカー強く思いましたね。根拠はいっさいありません。2020年、香川県議会はネット・ゲーム規制条例を可決して日本中を震撼させた。腐敗は目の前に、無限に広がっている!