ホーク、死す

ホーク・ウォリアーが死んだ。
オレはロード・ウォリアーズのプロレスが嫌いだった。ロード・ウォリアーズ、或いはリージョン・オブ・ドゥームですか?(マサ調) 彼らは一世を風靡したが、オレはどこかよその世界のことのように感じていたものだ。時は流れ、アニマルはほとんどプロレス界から姿を消したようだった。しかしホークはミネアポリスでプロレスを続けていたらしく、時々記事になっていた。ミネアポリスで行なわれているのは古きよきテリトリー・プロレスだ。WWEが大メジャーならミネアポリスはドマイナー、WWEが銀座ならミネアポリス新小岩である。詳しい事情は知らないが、時々見かけた記事の印象ではそれはドサ回りにしか見えなかった。かつて全米を席巻したロード・ウォリアーズ、その片割れ(片割れってのが泣かせる)であるところのホーク・ウォリアーの落ちぶれた姿である。しかし、全盛期のロード・ウォリアーズが嫌いだったオレは、その小さな海外記事を読むたびに少しずつホークが好きになっていった。写真で見るホークは、楽しそうだった。こいつはプロレスをやめられない男なのだということがわかってきた。アルティメット・ウォリアーとはちょいとワケが違うようだった。そしてこれも確かフミ・サイトーの海外記事で読んだのだが、ミネアポリスには名前は忘れたが小児麻痺だか半身不随だかのプロレス狂の少年がいて、ミネアポリスを拠点としているレスラーたちはみんな彼に優しかった。少年はいつもリングサイドで熱狂していた。少年とホークのツーショット写真を覚えている。ホークはお得意の舌出しでキメていたが、目が妙に優しかった。あの少年は、今も元気なんだろうか? アニマルがプロレスの世界に戻ってきてからも、ロード・ウォリアーズがかつての勢いを取り戻すことはなかった。繰り返すがオレはロード・ウォリアーズのプロレスは嫌いだったし、それは今でも変わらない。しかしホーク急死の報を聞いて、これがアニマルだったら絶対に感じなかったであろう寂しさを感じたのも事実だ。プロレスを見るということは、人間を見るということだ。いつの間にか、ホークはオレの中に入り込んでいた。気づいた時には、ホークはもういない。

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