底辺から見る宇宙 「宇宙探索編集部」

「宇宙探索編集部」

「宇宙探索編集部」を観るために、週末に高知に行ってきた。この映画は文化荒廃県・香川では上映されなかったので、上映してくれたゴトゴトシネマさんに感謝します。高知には他にも毎週末上映会をやってるシネマ四国さんもあって、皆さん立派だ。文化の荒廃と日夜闘っておられる。

以下、CinemaScapeに投稿したネタバレいっさいなしの感想。今年のベスト候補です。

穴の空いた胸には、ロマンのかけらがほしいのである (★5)


ドキュメンタリー映画「虚空門 GATE」を観た時に、自分がなぜ「未知との遭遇」をあんまり好きじゃないのか、その理由が判ったような気がした。UFO現象とは何なのか、その本質に触れてないからだ。リチャード・ドレイファスは、UFOにのめりこんでおかしくなってゆく。違うんだ。UFOにのめりこんでしまう人は、もともとちょっとおかしくて(失敬)人生がいろいろうまくいってないんだ。だからUFOに心を奪われる。因果があべこべなのである。


「虚空門 GATE」は、UFOに心奪われる人々がどれほど心やさしくて、どれほど無防備で、どれほど騙されやすくて、どれほどチャーミングかをよく捉えていた。彼らは社会の周縁にいる人々だ。資本主義のド真ん中でバリバリ成功してるやつなんか、ひとりも出てこない。


「UFO現象」とは即ち、「この世界の片隅でUFOに心奪われちゃう人々の内面にある心的現象」のことであって、お空にUFO飛ぶや飛ばざるや、イエスかノーかなんてしょうもない話ではないのである。


「宇宙探索編集部」はそのことを判ってる映画だ。オレが名づけたオレの好きなジャンル「底辺から見る世界」ものだ。いや「底辺から見る宇宙」かな。どうしようもない人たちばかり出てきて、どうしようもない人たちにどこまでもやさしい映画だ。そのやさしさにオレは感動したよ。

例によって、お前らも観てくださいとしか言いようがない。大都市での上映は昨年だったので、そのうち円盤や配信になると思う。WOWOWでも放送するらしい。

文中であたりまえのように「虚空門 GATE」について言及したが、これも傑作なので観ていただきたい。円盤にもなってるし、Amazonなら有料で、U-NEXTなら無料で観られる。他は知らない。

虚空門GATE

虚空門GATE

  • 小路谷秀樹
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未知との遭遇  特別版 (字幕版)

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  • リチャード・ドレイファス
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