
突然だが君は「マパンツラ」(南ア・豪、1988)という映画をご存知か? なに知らない? まあいい。ちょっとオレの話を聞いてくれ。
オレがはじめて「マパンツラ」を観たのは高校時代だ。それはおそらく1990年の秋で、オレは高校3年生だった。秋の日曜に、地元にある香川大学の文化祭で自主上映されたのだ。上映会場は大きな講義室で、たぶんビデオを大きなモニターに映していたと思う。自主上映の情報をどこで知ったのかは覚えていない。ただ当時のオレはアパルトヘイト(人種隔離政策)に強い関心を持っていたので飛びついた。南アフリカの映画なんて観たこともなかったので、好奇心もあった。
当時のオレが特に早熟だったとは思わない。80年代、南アのアパルトヘイトはよく話題にのぼる問題だった。社会には南アに対するモンド映画的、見世物小屋的な興味もあった筈だと思われる。ネルソン・マンデラは不当に投獄されている現代の英雄だったし、多くの人々がそれを知っていた。マンデラは90年の2月に釈放され、NHKやニュースステーションで報道されたものだ。冷戦が終わった頃でもあり、世界の激動は大衆の関心事であった。ま、世の中のことなーんも知らんアホだってそりゃーいたけどね、そんなの今だってそうでしょ。
「マパンツラ」はメチャクチャいい映画だった。オレ18歳は激しく感動した。上映が終わり教室が明るくなると、主催者の学生がゲストが来てますなどと言って誰かを呼び込んだ。すると軍服に身を固めた浅黒い外国人の男が壇上に上がり、腕を振り回しながらなにやら外国語で演説をはじめたのである。
続きを読む






![ノー・アザー・ランド 故郷は他にない [DVD] ノー・アザー・ランド 故郷は他にない [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/414H6U1ci+L._SL500_.jpg)