「ニッポン国VS泉南石綿村」が気の毒で気の毒で

最近やたらドキュメンタリーばかり観てますが、原一男監督の「ニッポン国VS泉南石綿村」をDVDで。尺は215分(3時間35分)。

ニッポン国VS泉南石綿村 [DVD]

ニッポン国VS泉南石綿村 [DVD]

  • 発売日: 2019/02/02
  • メディア: DVD

「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟」を主軸に、原告の皆さんを8年間にわたって取材したドキュメンタリー。アスベスト石綿)は怖いけど、アスベストが怖いという映画ではありません。以下の感想はネタバレありのうえ、そもそも映画を観てないとよく判らないでしょうねえ。でも3時間半あるんだよねえ… まあ観ないよねえ…

犠牲者の嘆きはなにしろ報われない (★3)

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ドキュメンタリー映画 「はりぼて」

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地方政治に巣食う屑の皆さん

地元のミニシアターで、富山市議会の腐敗をチューリップテレビの報道チームが暴くドキュメンタリー映画「はりぼて」を観た。はぁーりぼぉてぇ はりぼぉーてぇ(森本レオの声で)。判るな?

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王立宇宙軍」より

全員クソ野郎 (★4)

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映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を、なぜオレは気に入ったのか

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大島新監督。大島渚のチンコからやってきた

おおテリブル。テリブル香川! こ… これが… これが香川か…… これが香川…… (車田正美リングにかけろ」より抜粋改変) (★4)

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車田正美リングにかけろ」 より
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「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

劇場で「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。ちなみに前日に「TENET」も観たんですけどね、なんだか忙しい映画で好きじゃなかったな。ヴァイオレットちゃんも好きじゃないんだけど、去年の放火殺人事件に関連して応援の気持ちでムビチケ買ってたので観てきました。

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何も終わっちゃいねえ 何も

ヴァイオレットちゃん・エバー本編 (★3)

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現実に挑む理想 「パブリック 図書館の奇跡」

映画の日だったので高松の小屋で「パブリック 図書館の奇跡」。ちなみに高松での公開日は、東京のそれから2ヶ月ちょい遅れ。ハイきた時間差! 感想は少しだけネタバレあるよ。

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The Public

「公共図書館は民主主義最後の砦」、立派なセリフだ。たとえ現実がこうでないとしても、エミリオ・エステベスの心に輝く理想に胸を打たれる。 (★4)


日本にもゴロゴロあって我々もよく知る「図書館」を描いているため、アメリカと日本の社会の異質さに気づかされる。日本も民主主義ということになってて一応そういう制度になってるんだが、最近思うにこれはどうも、全然うまくいってない。それって日本人の、民主主義や自由、基本的人権などへの理解が全然なっちゃいねえからではないか、オレも含めてだけど、などと思う。


この国は基本的にムラですわな。他の村人に迷惑かけるやつは村八分、追放、殺害。プライバシーの概念なし。権利ナニそれ。オレには時々、この国が蟻や蜂などの昆虫が構成している社会のように見えることがある。それはそれで、精緻なものではある。そこでは全体に奉仕できない弱者は迅速に切り捨てられる。公園のホームレス排除ベンチなんか、絶対に30世紀の公民の教科書に載る。21世紀はこんなひどい社会だったと、未来人に軽蔑される。


そもそも戦後の憲法で言ってる「人権」ってのは、全然そんなんじゃない。オメーラ全体が弱者の人権を守って助けるんだよ切り捨てちゃあダメよと、だいたいこんな感じだ。しかし戦後何十年経っても、日本人は民主主義を理解できず、身につけることができてないように見える。最近は世の中のニュースを聞いても暗い気持ちになるばかり。夜明けは遠すぎる。


アメリカにはアメリカの現実があって大変なのだBLMなのだ永久闘争なのだとは、我々が聞く通りなのだろう。でも『スミス都へ行く』とか観るとやっぱり、アメリカの民主主義、その理想には筋金が入ってて羨ましいのう、などと思うじゃないですか。この映画もそういう映画だ。


日中、臭すぎるホームレスを追い出した件でエミリオ・エステベスは告訴される。これは他の利用者の権利とぶつかったために対処せざるを得なかった苦渋のケースだ。ならば利用者のいない夜間、凍えるホームレスが死にたくねえと図書館に居座ったとしたら、誰のどんな権利が侵害されるというのか。誰かの人権を侵害しているのは、この社会のいったい何なのか。こういう問いかけを心に残す脚本のアイデアが、本当に素晴らしい。


また、こういう映画は一夜が明けて朝が来て終わるんだろうなと思ってたら、苦みを含んだ落着を描きつつもなんと「夜が明けない」ことには驚き、感心した。鮮やかなハッピーエンドなどなく、夜明けははるか遠い。「夜が明けない」のが、この映画の表現なのだ。それだけに、シンシナティの「寒さ」を画で表現できていないのは残念だった。雪を降らせてほしかった。よほど金がなかったんだろうな。

東京のあなたがとっくに観て忘れた映画を田舎のオレは今も待っている

きのうは安倍首相が辞意表明ということで世間は大騒ぎ。しかし安倍首相が辞めたところで政府与党は山盛りのクソであって、この国の何かが好転する気も全然しないし、この国に積み上がった問題がいくらか解決するとも全然思えない。首相個人に対しては、まーたお前が好きに決めたタイミングなんだな、でもいつか天誅がくだされブタ箱にブチ込まれる時はお前のタイミングじゃねえぞ、ぐらいしか思うことはない。病気だったのに長い間お疲れ様、感動をありがとう的なことを言う人もいる。きっといい人なんだろうな。でもオレは、そんないい人たちの行き着く先には「パラサイト 半地下の家族」に出てきた「リスペクトおじさん」の姿があると思っている。しかしオレ自身はまったくもって「いい人」ではなく、ろくでもない人間だ。だから安倍首相が死のうが生きようが、クソどうでもいいというのが本心である。あと今さらだけど、あの人ドルーピーに似てるよな。

パラサイト 半地下の家族 [Blu-ray]

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なのでまったく関係ない話を書く。あ、「ベルばら」は40話全部観ました、死ぬほど面白かった。でもそれじゃなくて、「映画の公開にはなぜ、いまだに東京と地方の時間差があるのか」というお話。なぜと言っても答えは判らない、推測ばかりを思うままに徒然に。恨み節みたいなタイトルでごめんなさい。

1972年生まれのオレは18歳まで文化果つる地、香川県高松市に住んでいた。2本立てが普通だったその頃、メジャーな映画は東京と同時公開だったが、ミニシアター系(要するにマイナーな映画)は東京から半年ぐらい遅れての公開(あるいは公開されない)だった。当時はこの時間差をあんまり不満にも不審にも思わず、そういうもんかなと思っていた。田舎しか知らぬボンクラ少年に東京は遠かった。とにかくオレはそのようにして、周回遅れの街・高松でそれでもなんとか遅れて公開されたいい映画、「八月の鯨」や「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や「ストレンジャー・ザン・パラダイス」なんかを地元のミニシアターで観ていた。それらはいずれも半年ぐらい前にキネ旬などの映画誌ですでに批評が書かれて評価も終わった、何なら淀川さんの年間ベストテンで見かけた後の映画たちだった。

さて1991年に東京(一時期は神奈川)に移住してからはどんな最新映画やマイナー映画も観放題なので、ストレス知らずの浮かれた30年間を過ごした。淀川さんは亡くなられた。まあ仕事が忙しすぎて観たくても劇場で観られなかった「トロールハンター」のような映画も多かったのだがそれは自分の問題で、トロールハンターのブルーレイも後で買えたし、別に文句はなかった。そして昨年、30年ぶりに出身地の高松に戻ってみて驚いた。なんと、いまだに地方ではマイナー映画は大都市からおよそ半年ぐらい遅れての公開(あるいは公開されない)なのである。これにはかなり苛立ったし、今も苛立っている。

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こんなのばかり

まず間違いなく今年のベストワンであろう「淪落の人」を松山で観たのは6月だったので、東京での公開から4ヶ月遅れ。昨年ベストの「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」は徳島で1ヶ月遅れ、「ブラインドスポッティング」は岡山で3ヶ月遅れで観た。文化果つる香川県は映画公開時期において近隣県にさえ後れをとっているため、観たい映画を観るのも大変なのだ。あとゲームも1日1時間なんだとさ、バーカバーカ死ね殺す。

いや、昔は仕方なかったと思うのだ。なぜなら昔はフィルム上映だったからだ。映画1本分ものプリント代はべらぼうに高かったはずで、数少ないフィルムが大都市から地方へ、長期間にわたり全国を「巡回」せざるをえなかったのは理解できるのだ。東洋現像所改めイマジカは、いい金とるもんな。しかしきょうび、田舎の小屋でもたいがいデジタル上映ですよ。デジタルは複製にコストも時間もかからないのが利点なんじゃないのか。今の劇場用データは外付けHDDに収めて劇場に物理的に配送されると聞いたが、そんなHDD、100個でも200個でも作って全国同時公開したらええやん。イヤもはやHDDさえ不要で、ファイル分割とかすればギガファイル便でもタダで送れてどこでもDLできるやんけ。

デジタル化という技術的革新を経てもなお、地方映画興行の時間差は改善されてない。映画のデジタル化を推進したジョージ・ルーカス先生もモジャヒゲの向こうで泣くぜ。これはいったいなぜなのか。

デジタルになってもなお、我々の知らない何かしらのくだらない技術的制約があってHDDの数を作れない、ということもありうるのかもしれない。それはよく判らない。しかしオレがたぶんこうだからではないかと推測する理由は別にある。以下にそれを書くが、見当が外れてることも大いにありそうだ。なんせ映画を観るのは好きでも、映画興行については何ひとつ知らないド素人の考えることなので。

地方のミニシアター系映画館の館主になったつもりで考えてみる。ひとつの推測、むしろ邪推かもしれぬが、「大都市で上映が終わったマイナー映画のHDDを中古払い下げの感じで借りる」のは、「新作マイナー映画を東京公開と同じタイミングで借りる」よりもかなり安くつく… お得である… なーんてことが、あるのではないだろうか、と思うのだ。上映済みの出がらしデータでも、デジタルならば画質の劣化はないのだ。つまりロードショー(新作封切り)をハナからあきらめた、昔の田舎の二番館・三番館のおんぼろフィルムシステムが、デジタルになった21世紀にも脈々と生き続けているのではないだろうか。

また、地元でのマイナー作品の上映をするしない、するなら大箱か小箱か、上映期間の長短などを、まず東京など大都市での興行の具合を時間差カンニングしてから決めることができるならば、それは興行主たる劇場館主にとって大きなメリットであろうと思う。大都市で客が入った映画はかければいい。コケた映画は買わなきゃいい。つまり地方のミニシアターにとって、マイナー作品の上映は大都市より遅いほうがいい。何なら大都市でひと通り終わってからのほうがいい。カンニングが終わるまで、地方の観客なんかなんぼでも待たせておけばいい。どうせどこにも行きゃしない。

東京にいる間、オレは「地方ではマイナー映画の公開が恒常的に遅れてる」ことなんか気にもとめてなかったし、そもそもろくに知りもしなかった。さらに前の未成年時代は若さゆえのあやまち、田舎の世界しか知らずに「こんなもんだろう」なんて思っていた。しかしキモくて金のないおっさんにクラスチェンジして田舎に逆噴射家族した今、中央と地方の格差ってものを実に様々なところで、映画を観に行く時にさえ歴然と感じている。田舎であっても、テレビは遅れない。radikoでどこのラジオでも聴ける。新聞も遅れない。でも大スポは半日遅れで朝刊になってる。そしてマイナー映画は、何ヶ月も遅れるんだ。四国には海と山と川しかない。IMAXもない。いや、松山に1館あったか。1館だよ1館。

映画館トップ・上映スケジュール | シネマサンシャイン衣山

一方で東京の人口過密に比べれば高松などという、マーケット以前に人類がまばらにしか存在せぬ荒野で曲がりなりにも映画館がどうにか営業してるのはとても立派なことであり、誇っていい文化事業とさえ思えるのだ。客に困らぬ東京ならばマニアックな映画館でもなんとかやっていけるだろうが、田舎では死ぬ。そう考えたとき、徳島のアニメ(だいたい)専門映画館 ufotable CINEMA が頑張っているのは素晴らしい。今は違うが、開館当時は徳島県唯一の常設映画館だったのだ。近藤社長の脱税ぐらい大目に見ろやという寛大な気分にもなる。そして脱税してなくったって、地方の映画館ましてやマイナーな小屋の経営が、コロナ以前からずーっと苦しいのは知っている。興行リスクを避けたいのも理解できる。映画が遅れるのも仕方がない。と、結局は日本が貧乏だからしゃーない、みたいな湿った話になってしまうなあ。やっぱりせ、せ、政治が悪いんだよおおおお(山田洋次「息子」より田中邦衛)。

ufotableCINEMA

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あの頃映画 「息子」 [DVD]

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ベルばらに思う

アニメ「ベルサイユのばら」全40話をCSで録画して、先日から少しずつ観ている。かなり昔だが原作は読んでおり、メチャクチャ面白いことは知っている。アニメは断片的に観たことがあった。通して観るのははじめてだ。ざっくり言って前半13話までが長浜忠夫監督、後半19話からが出崎統監督。レジェンド監督2人の演出の素晴らしさについては、評論家・氷川竜介氏の記事がわかりやすい。

animeanime.jp
animeanime.jp

アニメ「ベルばら」は、ただでさえ面白い原作をガンガンに膨らませ、無闇に盛り上げ、夥しい情緒を山盛りに盛る、実にクドいアニメだ。面白いにもほどがあるのである。

第13話「アラスの風よ応えて…」には、大いに感銘を受けた。王妃マリー・アントワネットの贅沢を間近で見続けてきたオスカルは、領地の農民の凄まじい貧困をはじめて知って愕然とする。若きロベスピエール(黒髪じゃない方)はオスカルに向かって新しい君主には失望したと言い放ち、宮廷と国民の圧倒的格差を糾弾する。しかし革命以前のフランスに、民主主義はまだない。民衆が望んでいたのは、せめて王政が国民に不当に高い税を課さず、まともに暮らせるような統治をすることだ。しかし王様のルイ16世は錠前マニアのボンクラで、王妃マリー・アントワネットは世間知らずの金食い虫。バカ高い税金は貴族や王族の贅沢に消えてゆく。貧困に苦しむ農夫スガンはオスカルに言う。
「私には判らない。こんなに一生懸命働いてどうして… どうして塩とジャガイモしか食えないのか…」
これって今現在の2020年、働けど働けど貧乏な大多数の日本人の台詞そのものではないか。今これ読んでるお前さんは、自分は貧乏じゃないと思ってるかもしれない。ド貧乏なんだよ! 雇われでも今の2倍や3倍、給料もらったっていいんだ。そのうえ消費税をはじめ様々な方法で少しずつ、しかし積もり積もって山のように金を抜かれているんだ。せ、せ、せ、政治が悪いんだよおお(山田洋次「息子」より田中邦衛)。わしらも自民党ブチ殺して革命すべきなんや。我々はあしたのジョーである!

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ショックを受けるオスカル

面白いのはオスカルが受ける絶大なショックと、出口の見えぬ苦悩だ。後世の我々にしてみれば、この問題の答えは君主制から民主主義への体制大転換、市民革命しかない。しかしそんなの、我々が時間というカンニングペーパーを使っているから言えるだけにすぎない。王政の中で生まれ育ったオスカルの脳内に、民主主義らしき発想はまったくない。いっさいない。オスカルが個人的に知る王と王妃は、決して悪い人間ではないのだ。オスカルはどうしていいのか判らず、無力感にさいなまれる。オスカルには来るべき社会の姿が見えないのだ、知らないから! 知らないものは見えないのだ。知らないものは目指せないのだ。知とは、まったく人類が積み上げてきた偉大な宝だ。それでも時代が課す思考の限界の中で、今を精一杯生きるオスカルたちはやはり美しい。ばらは ばらは うつくしく ちる~ オスカル… オスカール!(アンドレ役・志垣太郎の絶叫)

ここで思い出したのは創元推理文庫の「ポオ小説全集」2巻、シャルル・ボオドレエルが書いた解説「エドガー・ポオ その生涯と作品」の一節であった。

以下引用。

君主が何百万人といて、厳密にいって首都もなく、貴族もいないような国で、造作なく物を考えたり書いたりすることは、難しいに違いない…

エドガー・ポオと彼の祖国とは、同一水準上にはなかったとは確実な事だと、私は繰り返していう。……名門の裔冑(えいちゅう)であったポオ、しかも自国の大きな不幸は、伝来の貴族をもっていなかったという事である。何故なら貴族をもたぬ国民の間では、「美」の礼拝は、遂に腐敗し、堕落し、消滅するより他はないからだ…

これはやたら入り組んだ悪趣味な文章で、引用部分も文中で誰かに言わせている体をとっているが、ボオドレエルのこれが本音であろうことは疑わない。ポオを礼賛する一方で、行ったこともないアメリカと民主主義を闇雲にディスってる。おい、こいつバカだろ。オレは詩が嫌いだからボオドレエルなんて読んだことないけど、お前よーボオドレエル先生がナンボのもんか知らんけどよー、調子こくのも大概にせえよ。だいたいこいつがダンディズムとか言い出したせいで前田日明が変な影響受けてこじらせて、こっちはいい迷惑なんですよ。美は貴族の専売特許ときたよ。なんや、貴族は神で大衆は豚か。フランス革命後のフランス人なのにこの貴族礼賛、驚いたねどうも。こうなると翻訳も気に入らない。「麻呂は、麻呂は繰り返しておじゃるのじゃ」とか公家の口調で丁度いいくらいだ。

でも仕方ない、ぼかー許すよボオドレエル君。ろくな教育受けてこなかったんだよな、時代の限界ってあるよな。アクセスできる情報の多寡も、現代とは比較にもならないもんな。民主主義がよく判らなくて、怖くなってついディスっちゃったんだな。許す許す、許します。しかし本当に、知とは偉大だ。オスカルも、たぶんボオドレエルもバカじゃない。でもよく知らないものは思いつかないし、あっても見えない、判らないんだ。それってよくよく考えると、怖いことだよな。イソジンでコロナに勝つとか、知性ある誠実な人間なら言わないもんな。クソ野郎だったりバカだったりの権力者がウジャウジャのさばっているこの国が、王政時代のフランスをあんまり馬鹿にもできない気がするのだ。ロベスピエール、この国にいないもんな。そしてろくに知らん詩人をディスってるわたくしも無知無学の檻の中にいるのだということを、肝に銘じるべきだろうな。ボオドレエル先生ごめんなさい。

ベルサイユのばら Blu-ray BOX

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あの頃映画 「息子」 [DVD]

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「ルース・エドガー」 息ができない

近所のシネコンで「ルース・エドガー」。アメリカで去年の8月公開された映画が、ようやく日本にやってきた。これはまさに今こそ観るべき映画でしたよ。土曜夕方の回なのに、観客はオレともうひとりしかいなかった。ヤレヤレ高松だぜ。

ルース・エドガー [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/12/02
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Blu-ray 2020/12/2(水)発売|映画『ルース・エドガー』公式サイト

公式サイトや予告編の惹句では、主人公の少年がいい人なんかなー悪い人なんかなーの謎の人物ミステリーみたいに書いてるけど、全然そんな映画じゃないと思ったよ。人間をなめるな、十傑集をなめるなと強く訴える、骨っぽい映画だった。以下感想、ネタバレあるので気をつけて。

黒人差別は当然背景にあるんだが、何よりも「他者の人生を尊重しない」連中に囲まれていることが、少年ルースを苦しめている。全然自由の国じゃない。 (★4)

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オーケイだいたいわかった(わかってない)

コロナウイルスの蔓延から、世の中すっかり様変わりしてしまった。

この2月以来、未知の疫病へのパニック映画的な恐怖、正常性バイアスによる根拠なき落ち着き、志村けん死んじゃった、無能政府への怒りといった様々な気分を反復横跳びのように行き来する日々が続き、続きといってもたかが2ヶ月程度なんだが、わたくしは早くも飽き飽きしてしまった。我ながら飽きっぽい。オーケイわかった、もうええわい。コロナウイルスな。わかったわかった。今後はコロナありの世界で生きるんだな。あるいは死ぬんだな。オーケイ! 遠慮なんかするこたねえって。遠慮されても困るよお前。どうってことねえよ。

コロナウイルスの、感染しても7割か8割は無症状か軽症という「感染戦略」は(ウイルスに戦略たてる知能はないんだけど、まあまあ)、人類の弱点をついており凄いと思う。感心する。厄介だとも思う。しかしですね、極端な例だけどエボラ出血熱なんか発症したら全身の穴から血ィ吹いて9割死ぬんですよ。なんだそれ怖すぎる。問答無用かよ。皆さん「エボラ・シンドローム~悪魔の殺人ウイルス~」とか最高なので観てくださいね。今の時期、NHKで放送してもいいくらいの名画だよ。

なのでエボラが流行ることに比べりゃあ、大したことはない。もちろんコロナでも人は死ぬ。死ぬけど、確率は低い。可能性ということなら人はインフルエンザでも死ぬし、交通事故でも死ぬし、雷に打たれても死ぬし、競馬で負けて死ぬことさえある。コロナで死ぬのは死ぬ人にとっては確率100%なわけで確かに悲惨だけど、まあしょうがないんじゃないですか。上司に文書改竄を命じられて従ってしまった自分が許せずに自殺した財務省の赤木さんの方が、はるかに悲惨でむごい、理不尽で気の毒な死に方だと思う。

もちろんいちばん大変なのは病院なので金と人手を(人手が全然足りない、というのが最も怖いよな)ジャブジャブ突っ込んで、まず医療スタッフがまともに休めて、まともに働けて、いいギャラ稼げるようにすべきだろう。病院とて無い袖は振れぬ。「医者が休んだために自分が、友人が、親が、妻が、子供がコロナで死ぬケースもあるがそれは仕方がない」ということを、我々は受け入れなくてはならない。コロナで死ぬ可能性ありの世界を、今まで通り生きてゆくしかない。我々の世界に新しい落とし穴が増えるわけだが、そもそも以前からこの世界は落とし穴だらけだったのだ。あんまりガタガタ騒ぐことはない。粛々と今まで通り、生きたり死んだりするしかない。

真に深刻な問題はすでにウイルスそのものから、ウイルスに対する社会の反応の方に移っているのだ(いや最初からか)。感染者を差別するなど言語道断。営業自粛しない店舗を責めるなどあってはならぬ。政府の対策は日替わり弁当のようにコロコロ変わり、まあ状況が変われば対策が変わるのも当然なんだけど、そもそも誰にも状況を把握できてないように見える。政府の無能は今回に限ったことではなく、ずっと無能無策邪悪だったのがコロナで露見したにすぎない。ま、我々は文句言いながらじっと耐えがたきを耐え、連中を選挙で殺し、ブタ箱にブチこみ、あるいは実際にブチ殺すしかない。

緊急事態宣言とかどうすんのかね。政府は「こういう状況になれば宣言解除」というゴールさえ決めずに世論に押されてなんとなく雰囲気で宣言してるだけなので、戦略もなければビジョンもなく、ろくな補償すらない。連中には最初から緊急事態宣言する資格も、宣言解除する資格もないのである。こんなデタラメな緊急事態宣言なら、医療体制の強化は絶対だが、ほどほどで解除したほうがいいと思う。この国ではみんな仕事して、カネを稼いで世の中を回して、以前よりは感染予防に努めながら、しかしたまにコロナで死ぬ。そこはもう諦める。コロナ以外でも、熊とかで死ぬ。自民党は殺す。ディテールはいろいろあるだろうが、全体としてはそういう感じだろうなあと思う。

落ち目の日本人らしくモヤモヤと生きながら、もっと悲惨なことになってる他国を少しでも援助できるようになれれば、まずまずじゃないですかね。五輪はやらない。コミケもプロレスも当分できないだろうが、コロナありの世界に合わせて考えていくしかないだろうなあ。でも映画館は開けてほしいんだけどな。

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ぼくとコロナと国と

今まであんまり書かないでいたことを書こうと思う。暗い世相に読むにはまったく楽しくなく、たいへんよろしくない内容であり、しかもクソ長い。ほとんどの方は数行読んだら眉をひそめてブラウザを閉じることだろう。しかし現在非常にやさぐれた気分のオレが、2020年4月にはこんな気分だったと後から振り返るための記録として書いておこうと思う。「バイオハザード」のアンブレラ社研究員の日記みたいなものだ。ゾンビなりかけの男が書く世迷い言なので、あんまり気にしないでいただきたい。マジメに反論されても困るのだ。

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