Netflixで配信が始まった、「新幹線大爆破」樋口真嗣版を。以下、ネタバレ感想なので注意されたし。犯人とかモロバレのジャジャモレよ。

少なくとも観てる間は退屈しなかったので、なんだ意外と面白いやんと思ったのだけど。観終えて1時間も経つともういけない。結局何やったんや、何の映画なんやと。 (★3)
今作はとにかく犯人像がすべてだと思っていた。ハンチクな犯人像では映画が成立しない。犯人像こそは、作り手が時代を撃つ無二の一球である。それが斯様なザマでは意気消沈せざるをえぬ。また旧作に寄りかかった造形は、映画を箱庭の設定遊びに貶めてしまう。樋口真嗣の中に、新幹線に爆弾を仕掛けるぞという確固たる動機がないのである。動機がないから「女子高生」というブラックボックスへ、映画の核心を外注してしまうのだ。今作を旧作と繋げた理由は、筋金の入っていない犯人像をどうにかして補強しようとしたからに過ぎない。
では今作の樋口真嗣の拠りどころとは何か。JR職員たちの、業務への献身である。それは確信をもって描いている。讃えている。でもねえ、それっていつものやつですよね。シンゴジですよね國村隼ですよね。そりゃあ、とりあえず仕事してる人を褒めとけば間違いはなかろう。しかし表現としては弱い。あたりまえの、雑な話だからな。
娯楽映画の正義に則るならばユーチューバーに車内放送させた後輩車掌は死ぬべきだし、ユーチューバー本人なんか線路上にバラバラに飛び散って死ぬべきだ。しかし呆れたことにこの映画、職員も乗客も、犯人さえも死なない。森達也が死んだだけだ。森達也なんか何回死んでも構わないのであって、誰の心も傷まないのである。関係ないけど森達也、晩年の森毅(数学者)に似てきたな。観てて頭が混乱しちゃった。
Netflixのおかげでバジェットは大きく、映像はゴージャスである。眼福である。感慨もある。しかし、ずっと記憶に残るような映画ではなかった。
役者陣でいちばんいいと思ったのは、運転士を演じたのん(能年玲奈)でしたよ。ちょっと他の役者とは格が違う感じでした。
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