禁忌

タブーなんてろくなもんではないとわたくしは昔から思っていた。タブーの多い社会は原始的な土人の社会で、文化が成熟し文明が開化するほどタブーが少なくなるものだ。万博のちょっと後に生まれたオレは人類の進歩と調和を願っているので、タブーのより少ない社会を心から望んでいる。こんなのは常識だと思っていた。ところが逆にタブーを増やそうとする人々が思いのほか多いので本当に困る。人類の進歩と調和を願うオレからすると、そんな連中は人類の敵としか思えない。やつらは皆して原始時代に戻りたいのだろうか。オレはいやだ。フィクションとしての原始時代は魅力的だが、自然に帰れ昔はよかった式のインチキノスタルジーには乗れない。なぜならインチキだからだ。長い歴史の中で、おおむね人類は少しずつマシな方へ進歩してきたと思う。タブーを増やそうとするのは、この流れに逆行することだ。もうこれからはタブー禁止にしよう。タブー禁止!