「げんしけん」(〜7巻) 木尾士目

げんしけん(7) (アフタヌーンKC)

げんしけん(7) (アフタヌーンKC)

あー、この何も起こらない何も進まない感じがアフタヌーン臭なのか。或いはサンデー臭なのか。それなりにお話は進んでいるのだが、進んでいる実感はなくひたすらぬくぬくしているのだ。
オレはやはり向かう先や目的のはっきりした物語の方が好きだ。いやこれも確かに読んでいて面白かったんだけど、続きを読みたいという強い欲求はない。ずっとこの調子なんだろうなと思うからだ。つまりこれ現状を肯定するマンガで、まあこのテのマンガにも役割があろうし効能もあろうしたくさんの読者がおる以上オレが偉そうに「げんしけん」を否定する理由は何もないものの、やっぱりこれはオレが読みたいマンガでない。極論すれば、のんびり「750ライダー」なんか読んでられっかよ、ということである。
さて物語不在を離れて内容を見れば、描かれているのは可もなく不可もない平凡なオタクの日常で、まったく毒にも薬にもならぬ。思考が「好き」で止まってるようなやつはオレの感覚ではオタクですらないのだが、このマンガは世間的カテゴリでいう「オタク」を全面的に受け入れ、そこに安住している。このマンガを好きな人は、たぶんそれこそがいいんだろう。毒も薬もいらないんだろう。時代か。