2006年の凱旋門賞が終わった。ディープ負けたあ。負けちゃったあ。
この年になって恥ずかしいが、テレビを観ながら「頑張れ!」と本気で叫んでしまった。一人でテレビを観てて本気で叫ぶなんて、桜庭和志がケスタティス・スミルノヴァスに殴られてたとき「止めろ!」と叫んで以来だ(最近だな)。
残念だ。本当に残念だ。しかししゃあない。これしゃあないです。競馬の結果は絶対なのだ。我々が生きているこの世界はすべてが八百長とインチキでできているが、競馬の結果だけは違う。結果の絶対性の前では、オレたち人間なんてハナクソみたいなもんだ。悲しいけどこれ競馬なのよね。ディープはよくやった。オレごときが言うのもアレだけど、日本一の馬が凱旋門賞で立派なレースをしてくれたことを誇らしく思う。
今回、大勢の日本人がディープを応援するためにロンシャンを訪れたと聞く。彼らは日本馬が凱旋門賞に勝つ歴史的瞬間に立ち会うべく身銭を切ってフランスへ飛び、生で凱旋門賞を観て、闘って敗れたディープを目撃したことだろう。さぞやがっかりしたことだろう。へこんだことだろう。
オレは彼らが羨ましい。それは、本当に素晴らしい体験だと思う。ディープの負けを自分に深く刻みつけ、その傷を一生背負ってほしい。この記憶を忘れないでほしい。フランスを観光したりパリで買い物などしたりして紛らわせず、泣きながら鼻水垂らして帰国してほしいと思う。あなたたちは、「凱旋門賞に敗れたディープを観た」というかけがえのない宝を得たのだから。