「ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風」 荒木飛呂彦

ジョジョの奇妙な冒険 (63) (ジャンプ・コミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 (63) (ジャンプ・コミックス)

連載当初から読んでいたジョジョも第3部以降つまらなくなり、ジャンプで読むのをやめていた。オレがかろうじて把握しているのはツインピークスもどきの第4部までである。オレは今でも2部迄が「ジョジョ」であると考えている。だから第5部はまったくの初見だ。
いやこれが読んでみると実に辛かった。本当にキツかった。荒木先生の絵師としての才には何の文句もないのだが、登場人物が魅力に乏しく、さらに致命的なことに敵に魅力が乏しく、スタンドを用いる戦闘は読者の理解を斜め上に飛び越え先生の脳内だけで辻褄が合っている状態で延々と展開される。正直言ってこれはもう飲めません。
1部と2部がギリギリ手放さなかった「現実との地続き」感はもう完全に失われていた。最後のほうに至ってはほとんど宗教的な領域に踏み込んでる。これ何て「ブラック・エンジェルス」なんだよと。1部2部に胸躍らせた者としてはこの変質、ちょっとやりきれぬ思いであります。