納涼映画「プロメテウス」を見物

リドリー・スコットの新作「プロメテウス」は「鑑賞」なんていうよりも「見物」というほうが余程しっくりくる、スッカラカンの見世物映画でしたよ。以下CinemaScapeに書いた感想。

適当極まりない内容で実にリドリー・スコットらしい(★3)
リドリー・スコットは、傑作「ブレード・ランナー」を作ったあとに「デッカードが実はレプリカントだったら面白いぞ! 今からそういうことにしちゃおう」と手のひらを返して嬉々としてディレクターズ・カットを作るような男である。本質的にビジュアルの人であって、物語の作家ではない。日本でいえばりん・たろうあたりに該当するお爺ちゃんである。だから「プロメテウス」が中学生の妄想ノートのような尻切れトンボの内容でも仕方ない。1周まわってグラディウスみたいに見える、ゴージャス・ジョージな映像を楽しんでいればいい。

とはいえ木戸銭払った劇場で、決して高くもなかった期待を1ミリも上回らない映画を2時間観るのはけっこうしんどいものだ。ウーン面白くないなあ、なんて思っていたら手術マシーンの場面でギョギョギョとなった。これは実に不快で、とても素晴らしい。こんなに金をかけたSF超大作の最大の見せ場が結局グロ描写なのだ。誰に対してというわけではないが、ザマを見やがれとヤケクソ半分、なんとなく爽快な気分になった。案の定、手術マシーンからあとは消化試合の無気力相撲。適当に映画は終わった。

未来史「エイリアン」サーガとは、大企業ウェイランド社の野望が敗北を繰り返す歴史である。次回作は是非、近未来におけるウェイランド社の創立と若社長の青春を描いてほしい。このシリーズの主役はもはやエイリアンでも人類でもなく、ウェイランド社なのだから。