ネタバレ注意「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」

ヱヴァQ観てきました。以下の感想はネタバレですのでご注意を。ひどい映画ですが、それでもネタバレなしで観るほうが楽しめることは間違いないと思います。映画を観てない方は読まないでください。

どう転んだところでわたくしは悪口を言うのです (★2)


目覚めたシンジくんを取り巻く環境の激変、実は14年後ですという大仕掛けには驚いた。今回はポカポカしてなかった。登場人物たちはギスギスとディスコミュニケーションでお寒い空気。意図的な説明不足で意味不明のこの感じ。往年のテレビシリーズや旧劇場版でひどい目に遭ったことをまざまざと思い出す。あーエバーってこんなにひどかったんだっけと、忘れかけていた煮え湯を再び呑まされるような思いであった。前作「破」の時はヌルいヌルすぎるぜ、もっとエバーらしく殺伐とせよなどと文句を言っておきながら、その通りに突き放されるといやーエバーってホントにひどいもんですねと言わざるを得ません。とはいえ、かつてのひどさに比べるとあんまり切実さが感じられぬ薄い映画でもあるのですが、ま、どう転んだところでわたくしは悪口を言うのです。


かつてガラスの若者だったわたくしも現在ヒゲのおっさんになって、エバーのひどさにはかなりの耐性がついております。それどころか、ひどい非道い映画であることを心のどこかで期待していた節さえあるのです。たとえるならばヤクザなヒモから離れられないアホ女。ヒモ(庵野秀明)には当然のようにDV癖があって、女をボッコボコに殴って血まみれにした挙句、女が引き出しに隠しておいた虎の子の生活費を鷲掴みにしてパチンコ屋(フィールズ)に行ってしまう。にもかかわらず、割れた茶碗を片づけながら「でもふたりきりの時はあのひと優しいの…わたしがいないとあのひとダメになっちゃう…」とか言うてる頭のネジのゆるいクソタワケ女、それこそが紛うことなきわたくしの精神の一面であることは、もはや否定できぬ事実なのであります。


例によって今回の映画も徹底的に作り手のでっちあげた舞台、作り手が勝手に決めたルール、作り手の金儲けのご都合で埋め尽くされており、およそものの道理というやつの入る余地がない。まーやりたい放題やってくれちゃってますわ。空飛ぶニューノーチラス号でヤマトごっこ(またかよ! 弾幕薄いよ!)。三石琴乃が「ちょっち」とか「パーペキ」とか言わない代わりに、坂本真綾が「メンゴ」って言う。前作で太鼓叩いて解説してた白衣のレズは急速に新宿二丁目化、グレンラガンのオカマ技師みたいだ。連中はシンジ君に説明もせずに邪険に扱うんだけど、シンジ君は追いこまれて孤立したら何しでかすか判ったもんじゃない、キレる若者日本代表クラスだぜ。14年経っても、相変わらず失敗から学ばねえ連中だよ。だいたい君たちさー、サードインパクトですか? あんな至近距離にいたのにほとんどの主要キャストがピンピン生きてんのはどういう了見なの。グッズにして売れるキャラは生き残って、貞本義行がキャラ起こしてないその他人類は全滅ってことでよござんすと、そう仰るわけだ。自由気ままな取捨選択で、たいへん結構なことですなあ。だけどそんな了見のやつらが「人類」とか「世界」とか軽いノリで口に出して大見得切るのって、わたくしもこれでけっこう真面目なもんだから、正直言って不快極まりないんだよな。


テレビシリーズの1995年からすでにあった文句なんだけど、たとえば世界を守るお話だったら、まず守られるのがどんな世界なのかを普通ちょっとは描くんですよ。「太陽の王子 ホルスの大冒険」とか見てみろよ、「守るに値する村」をめんどくさい作画で描いてますよ。守る対象が我々の知る現代社会そのものだったら、或いは描写を端折っちゃってもいいかもしれない。しかしこのお話ではセカンドインパクトとやらがすでに起こってて、現実の延長線上にはない世界が舞台なのだ。簡単な描写や短い説明程度は、最低限必要な筈だ。しかし庵野これを華麗にスルー。要するに世界にも人類にも興味ないのだ。ただ気持ちいいから言いたいだけなんだよな。


人類のほとんど死滅した世界で、あのふざけた戦艦は誰がどうやって作ったのか。その資金源は。そもそもなんで浮いてんのか。大気圏外で作戦行動するための資金と技術と資材はどこから来たのか。まともな人なら普通に気になるこれら膨大な疑問を庵野は「なにしろ14年後ですから」の一言で押しきってしまう。これがDVでなくて何であろう。舞台がネルフに移ってからは、ムチャクチャすぎてもう笑うしかなかった。だって広大な廃墟には、X星人みたいなグラサンの父ちゃんと老けた冬月先生しかいねえんだもんなあ。庵野くん、新しいエヴァンゲリオンはおじいちゃん2人でエッチラオッチラ作ったの? ずいぶん力持ちなんだね。父子の再会の時のピンスポ照明は、裏で冬月先生がスイッチ操作してたの? 芸が細かいね。父ちゃんのオフィス、吹きっさらしだけど冬なんか寒くない? もう年なんだから、お体には気をつけてね。


シンジくんの引きこもり生活後の展開もチャンチャラおかしくて、おヘソが茶を沸かします。相変わらずホモいカヲルくんが「槍を2本抜けば世界が変わる」とかアホみたいなこと言うと、シンジくんは催眠術にかけられたように即座に信じこむ。友達がこんなこと言い出したら、まず真剣にドラッグの可能性を疑うべきですよ。そんで地下にノコノコ降りていくと「あれ、あの槍は違うぞ」とか言い出して、先手・カヲル名人、長考に入ります。待たせた挙句に「あれはアカン、抜いちゃダメ! ゼッタイ」ときたもんだから、すっかりその気になってるシンジくん、後にひけずにブチ切れます。「なんでですのん、あんた抜け言いましたやん。抜け言いましたやん。わて抜きまっせ。知りまへんで。わて抜きまっせ」 あーっ、シンジくんもドラッグキメてたのか。わたくしハッとしました。グッときました。槍を抜きます。世界が破滅しそうです。あぶなあーい! おいお前ら、ふざけるのもいいかげんにしろよ。


世界の大きさも知らずにチンケなオモチャで遊んでんのは庵野、お前なんだ。十何年経っても成長できないのは庵野、お前なんだ。はい、皆さんとっくにお判りだと思いますが、このような文句はすべて我々が過去にさんざん繰り返して言ってきたことです。「おめでとう」 お前がおめでたいわ。「気持ち悪い」 お前が気持ち悪いねん。いつだって自分のチンチンの話しかしないくせに、なぜか観客に波動砲の照準合わせてエネルギー充填120%、DVを敢行して青春の殺人者と化す庵野監督。こんな頭のおかしい自爆テロリストみたいな映画監督は世界的にも珍しいので、彼は希有な映像作家という評価を得た。オレも心底そう思うよ、確かに希有ですよ。作家ですよ。頭おかしいですよ。勘弁してくださいよ。


この人が作ったものでまともな作品って、岡田斗司夫がコントロールした「トップをねらえ!」と原作のある「彼氏彼女の事情」だけですよ。あとは全部ムチャクチャだ。今後、庵野監督が正攻法で面白いアニメーションを作ることは金輪際期待できない。しかしわたくし、ヒモにDVされても別れられないイタい女のように「でも庵野くん、ふたりきりの時はヤマトのパロディすごくうまいの… 爆発描かせたら日本一なの…」とか言ってメソメソしちゃうのです。こういうのはねえ、ホント褒められたことじゃないです。お互いのためによくない。きっぱり別れるべきなんだ。ぼくだって判っているのです。しかしですね、次回作なんてもう鉄板でクソ映画確定なわけじゃないですか。オタクどもの間ではループ構造だのパラレル世界だのと囁かれていて、すでにゲロ以下の匂いがプンプンしてるわけですよ。もう飲み屋でボロックソけなして盛り上がること必至じゃないですか。なんだったら完結しなくても驚きません。あのねえ、ちょっとワクワクしている自分がすでに居るのですよ。人間とは、かくも愚かで度し難い。こんな気持ち悪い感想、書かなければよかった。だからみんな死んでしまえばいいのに。