「きみの色」 人の色が見えるという設定がもう人間をナメている

山田尚子監督のオリジナル長編アニメ、「きみの色」を観てきた。観てる間はフーン、フーンと思ってて、腑に落ちないまま家に帰ったらだんだん激烈に腹が立ってきて、このような感想になってしまった。お好きな方々にはごめんなさい。しかし書いてて思ったけど、オレ山田監督のアニメだいたい観てるんだなあ。さすがに短編とかは観てないけど、気持ち悪いやつだな。

びっくりするほど魅力のない同級生たち

自身の集大成的な内容を手癖で作ってるもんだから、監督の悪癖が山盛り。もともと山田尚子作品をお好きな人にはよろしいんでしょうな。 (★2)


山田監督がやったテレビシリーズ「平家物語」(2021)はあらゆる意味でクソほどつまんねえ愚作と思った。あのねえ、オープニング映像のタイトル出るとこで、画面右上にフィルムのパンチ穴が出るんですよ。これに当時のオレは、自分でもどうかと思うくらい怒り狂った。それはフィルム映写時に巻の替わり目のロールチェンジに必要な穴であり、デジタル制作のアニメには不要なものだ。それをわざわざこれ見よがしに入れる。ハンチクなマネしやがって、昔の新日道場だったら山本小鉄にボコボコにされてますよ。とんだ一杯食わせもののフェイク野郎だぜ。


今作にフィルム穴はなかったが(あったけど見逃したのかも)、フィルム「風」を装う画面処理は頻発する。フィルムが感光したように画面が明るくなる白飛びなんか、ゲップが出るくらい何回も何回も見せられる。わざとらしいピンボケもやる。こういうのを見るに、山田監督は自分がメシ食ってるデジタル制作という様式をまったく愛してないのだろうなと思う。しかしねえ、そんなにフィルムが好きなんだったらセルに色塗って撮影台で撮影(アナログ制作)すりゃあいいんだよ。それで時々ボケたり現像失敗したりすればええじゃないの、それがお望みなんだろ。でもやらない、大変だから。だからお前はハンチクなんだってんだよ。


悪癖はまだある。「文字」への依存だ。山田監督、画面に字を出すんだよ。それもここぞって感じで字を出す。クッソダセエ。映像の監督として恥ずかしくないのだろうか。「響け!ユーフォニアム」の1期だか2期だか忘れたけどエンディングが山田監督担当でね。キャラが「高揚感」とか文字書いた紙を持ってんの。ダ、ダサすぎる。ダサすぎてテレビの前でウンコ漏れそうになったわ。今作ではエンドロール後エピローグ後のラストカットがまったくどうでもいい必要なさそうな字で、おおおおいお前まだそれやんのかと呆れ返ってイスから転げ落ちそうになった。


もうひとつ悪癖あった、しょうもないメンターキャラ。「たまこまーけっと」で利いたふうな口をきく喫茶店の気持ち悪いオヤジ。今作では若いシスター(学校のシスターってなんだ?先生とは違うのか)。奥のないペラいキャラである。けいおんの先生かな。必要ない。ババアでええやろ。


お話はですね、特に何も感想ないです。ミッションスクールがアルジェント映画のロケーションみたいだなと思いました。あの古本屋は何なのか、なんで未成年の黒髪少女が遊び半分で店員ごっこやってんのか説明があるかと思ったらまったくなかった。ご都合がよろしいことですな。

まあ山田監督もイバラの道なんだよな、それは知ってます。堀口悠紀子に去られ、京都アニメーションのあの事件があって、西屋太志を失った。続けてるだけで大したもんだと思ってます。マー映画の感想とは関係ねえけどな。