「化け猫あんずちゃん」 我々は幾度「少女が田舎でひと夏のナントカ」映画を観るのか

ロトスコープで踊る吉田

森山未來が見事(チャリパクに気づく芝居など最高)で大いに楽しんだが、えらく生ぬるい。ここまでお子様ランチ化するのかと思った。 (★3)


原作では吉田(よっちゃん)が就職したホームセンターでうまくやれず、いじめられて初日で辞めてくる。この「うまくやれず、いじめられる」くだりを映画はまるまるカットした。おい、メチャクチャ重要な場面だよ。なんならいちばん重要な場面だよ。これは由々しき事態だよ(オレが吉田好きすぎるだけやろ)。終盤、貧乏神を忘れてしまう展開も非常に気に入らない。


わたくしが近年気になって仕方のない、映画における巨大な類型「少女が田舎でひと夏のナントカ」を導入して安全策に走ったことも、原作の冒険精神を著しく損なうものだと思っている。そらーそんなもんねえ、少女が田舎でひと夏のナントカしてりゃーとりあえず観れますわ、そんなん誰でも好きなやつだよ。しかしオレは、そんな定型ダサいぜみっともないぜと足掻く作り手の映画をこそ観たい。なにしろここ数年はそんな気分なのだ。にゃっはっはー


ま、これだけ冒険的な企画(企画書見てみたいわ)が手堅い仕上がりだっただけで「冒険精神が足りん」は酷だとは思いますが、観客には企画とか関係ないからね… にゃっはっはー