全日本プロレス、テレビ観戦

武藤体制になってからの全日本プロレスに、かつての面影はない。今の全日本プロレス武藤敬司の余生プロレスの世界である。しかし余生プロレスでなにがあかんのんと、なんでホタルすぐ死んでしまうのんと、今日は珍しく武藤の声が聞こえたような気がした。世評に反してオレは昔っから、本当に昔っから武藤をほとんど評価せずにきたが、こういう余生プロレスでなくては伝わらないものもある。武藤がやりたいプロレスは古きよきアメリカのテリトリー・プロレスなのであって、武藤の場所は東京ではなく地方にあったのだ。東京においても地方巡業のようなプロレスを見せる、そこに武藤の安住の地があり、そして武藤はもはや安住の地にあぐらをかいてもかまわないポジションを得ている。おっちゃんおばちゃん子供さんたちは、別に世界最高峰のバードを見たいわけではない。あー、面白かった! と思わせて家路につかせるプロレスは誰かがやらねばならないし、意外だが武藤は昔からずっとそれをやりたかったのだろう。その意味でデルフィンとの絡みは興味深かった。武藤はファミリー軍団を率いたジャイアント馬場になるのであろうか。しかし、健介に悪役商会はつとまらないのであった。そして実況解説ではじめて聞いた小島の素の声は普通すぎた。どっかの大学生みたいだ。