橋本のこと

告白すると、最初はまったく信じなかった。ガセに決まってると思い、クソ忙しいのにくだらないメールを送りやがってと腹を立てた記憶がある。その後どうも事実らしいということを理解したが、頭の片隅に一時棚上げし、とにかく日中はそのことを考えないようにしていた。改めてこの事を考えたのは夜、宿の部屋で1人になってからだ。
彼を悼むどんな言葉も、今は書けない。橋本のような男が若くして死ぬなんて、このうえなく理不尽なことだ。それについてオレなんぞが書くことはない。橋本の死は、オレの論評の対象ではない。ましてや、日記のサカナではない。ひとつだけオレが感じた感情を書くならば、オレは悲しかった。本当に悲しかった。ここ数年、これほど悲しかったことはない。だから、あまりこのことは考えたくないんだ。