前田日明

数日前、前田日明がBMLのスーパーバイザーを辞めた。
オレは原則として前田日明が好きだ。これはもうどうしようもなく好きだ。あれこれ問題の多い人だってことぐらい判っているのだが、それもこれもあれも含めた上で好きだ。オレにとって、これほど「共に生きた」思い入れのあるプロレスラーはいない。
しかし、前田日明を好きでいることは楽ではない。イヤな思いをすることも多い。オレたちはこれまで前田が様々な人と仲違いし、縁を切り、怒り、毒ガスを噴射するのを見てきた。その相手の多くはプロレスまたは格闘技の世界の人間たちで、彼らのことも決して嫌いではない前田ファンはケンカ別れのたびに前田の噴射した毒ガスを吸わされるのだ。仕方ねえんだ。オレたちが吸いこまなきゃ代わりに無関係の素人さんが間違って吸っちゃって、プロレスを嫌いになってしまうのだ。
前田ファンの胸のうちには、「もっとうまく生きればいいのに」という思いと「良くも悪くも曲げないのが前田だ」という相反する思いがせめぎあっている。その上で、自分の生き方が問われてくるのだ。そりゃしんどいですよ。何も考えずに蝶野ファンとかやってるほうがどんなに楽だろうか。まあ無理なんだけど。
オレは正直言って、BMLがどうなろうがどうでもいい。柴田君はしょっぱいと思っていたけど、たとえしょっぱくても彼が志を持って新日の傘を飛び出したことをプロレスファンは知っている。志が彼の財産なんだ。だから心配はしない。組織としてのBMLがどうなろうとどうでもいい。
オレは、前田の笑顔が見られなくなることがイヤなのだ(また毒ガス吸うのもイヤだ)。