「人間爆弾発言」 山本小鉄

人間爆弾発言―熱血語り下ろし&超過激対談

人間爆弾発言―熱血語り下ろし&超過激対談

先日観た新日vsUWFのイリミネーションマッチは、所謂「昭和新日」の凄さが記憶の美化でも郷愁でもないことを教えてくれた。もうパッと見た感じ、レスラーの能力が今の新日とは全然違うのだ。その差はオレのようなプオタよりも、ド素人の目にこそ顕著であろう。いやもう今の天山とか中邑とか、昭和に比べれば楽チンな試合してますよ。実際の練習量も当時とはケタ違いに少ないらしく、そりゃ中邑がダメなのも判るよ。スクワットとブリッジが足らんのよ。
その流れで山本小鉄の本を読んだ。とにかく前田日明がらみが最高だ。藤原喜明との対談で出た話。藤原宅に、夜中に(当時疎遠になっていた)前田から電話があった。「あー藤原さん、今テレビ観てたらニュース速報が出て、岩手で地震ですよ。震度4とか5とかけっこう被害出て大変そうですよ。藤原さん岩手でしょ、心配ですね」と一方的にまくし立てられ、ガチャンと電話を切られたそうだ。それを藤原は「嬉しかった」と言うのだ。岩手の地震と聞いて、前田はまず自分のことを思い出した、それが嬉しかったと。
藤原と小鉄さんの前田についての見解は一致していて、ものすごくバカだがものすごくかわいい。悪人か善人かといえば間違いなく善人。先輩には愛されるが後輩には愛されない、というものだった。うーんいちいちその通りだ。
他にも藤原が小鉄さんを包丁で刺し殺そうと計画して、道場の外の木の下で包丁を突く練習を繰り返していた、などのゴキゲンな話が満載。総合でプロレスラーが負けまくっていた時期に出た本なのに、「プロレスラーがいちばん強いんだ!」という小鉄哲学がビタ一文揺らいでないのも素晴らしかった。そうですよプロレスラーは強いんだって! 今どきこんなこと言ってると冷笑的な格オタどもにバカにされそうだが、小鉄さんをバカにするやつはオレがヘッドロックで泣かせてやるって! しかし同時に、そりゃ小鉄さんは強かっただろうけど、昭和新日の中でもキムケンあたりは弱かったんではないかと、そういう本音もなくはないのである。