秋山成勲vs桜庭和志、補足

秋山がヌルヌルしてたことが果たしてそれほど極悪非道なことかといえば、そりゃ確かにずるい行為ではあるけれど、実のところオレは極悪とは思っていない。体に何かを塗っている外人選手はごくたまにいる。総合格闘技が普及するより昔の異種格闘技戦では、レスラーと対戦するキックボクサーは妙にヌルヌルして見えたものだ(鈴木とやった何とかナ・パタヤとか)。
バレたところでイエローカードの1枚もくらって、いいかげんに体を拭いて試合続行というのが普通ではないだろうか。
今回の試合が特殊なのは、秋山が完全にこれを隠蔽しようとしたからだ。なかったことにしようとしたからだ。そして、それを情け容赦なく遂行したからだ。当事者の隠蔽体質こそが「炎上」を誘発するのであって、あっさり「あーすみませんでした、すぐ拭きまーす」とかなんとか言ってればこれほどのヒートは買わなかったのではないか。
ヌルヌルを隠蔽しようとする秋山の顔芸があんまり面白かったからオレは大喜びしたけど、本当に本当に深刻な問題は別にある。それは、あんまりストップが遅いと選手が死んでしまいますよ、という問題だ。前回の桜庭vsスミルノヴァス、今回の桜庭vs秋山、男祭りの吉田vsトンプソン。残酷で無責任な視聴者のひとりであるオレでさえ、ちょっとこれはいかがなもんでしょうと思った試合だ。オレが本当に主催者に望むのはこの業界ぐるみの構造的問題の改善であって、ヌルヌルの追求ではない。死人が出るような試合さえしなきゃ、ちょとぐらいヌルヌルでも、ちょっとぐらい反社会勢力と仲良くても、ちょっとぐらい百瀬さんがリングサイドにいても、まあ、まあ、あれこれツッコミ入れつつも観ていられるのです。
あと桜庭好きとしてヘコむのは、これが尋常な勝負であったとしても普通に桜庭は負けたんだろうなと思わせるポテンシャルを秋山が見せたことだ。序盤にお互いが出したローキックなんか、歴然とした差があったと思う。