密林映画、密林文学

先日、黒澤映画で実はいちばん好きな「デルス・ウザーラ」を久々に観た。この前の「蜘蛛巣城とCG」の話同様、この映画も「ホンマモンであること」が無類の力を発揮している映画だ。

デルス・ウザーラ [DVD]

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デルスー・ウザーラ〈上〉 (河出文庫)

デルスー・ウザーラ〈上〉 (河出文庫)

黒澤がアルセーニエフの「デルス・ウザーラ」を読んだのは若い頃で、長い間映画化を狙っていたという。一時は北海道を舞台にした翻案も考えたらしいが、「北海道では自然がショボい」という理由でやめたそうだ。「北海道の自然がショボい」ってどういうことだ。ボクちゃんには意味がさっぱり判らないのだが、ソビエトのモスフィルムの全面協力もあって「デルス・ウザーラ」は原作通りのロケーションで撮影された。ウスリー地方の風景はもの凄く、まあ確かに北海道でこれは無理だろうなあと思わざるを得ない。たかだか数十年前には本物のアルセーニエフ隊が探検していた秘境なのだ。ただロケーションとしては最高でも、撮影環境の劣悪さは「食人族」並みだったろうと思われる。電気のコンセントなんかないんだぜ。
「デルス」を好きな人には無条件でお勧めしたいのがニコライ・バイコフの作品群だ。「偉大なる王」「牝虎」「樹海に生きる」など、美しくも怖ろしい密林(タイガ)の虜になります。

偉大なる王(ワン)

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牝虎 (中公文庫)

牝虎 (中公文庫)

樹海に生きる (中公文庫)

樹海に生きる (中公文庫)