チーム不感症

前回書いたような前提はあれど、オレは野球やサッカーなどのゲーム全般を否定しているわけではない。ただオレには関係のない話だというだけである。ゲームにおいても人間を見るという行為は勿論可能だ。ゲームそれ自体に意味がないとしても、そのゲームに意味があると信じ人生を賭けている人間に意味がないわけでは決してない。こんなのは当たり前の話で、書くまでもないと思って前回は書かなかったが一応書いておく。
オレはあらゆる集団競技が苦手だ。「人間を見る」ということは判るが、「チームを見る」ということがよく判らない。例えば野球では、去年までヤクルトの選手だったやつが今年は巨人にいる。こないだ中日の監督だった人が、阪神の監督になっている。こんなことでどうやってある特定のチームに肩入れできるのか、本気でさっぱり判らないのだ。地元のチームだから応援するという理由もあるのだろうが、オレにはそもそも地元だから応援するとか日本人だから応援するといった感覚がまるでないのだ。サッカーのクラブというものも、実に胡散臭く見える。地域なんかどうだっていい。ワレワレハ地球人だろ? オレが肩入れする対象は、オレを感動させた人間だけだ。それは対象とオレとの一対一の世界であり、他者が入り込む隙間はない。まして地元意識やナショナリズムなど思いもよらない。
これほどスポーツに関する一般的感覚が欠落している欠陥人間のオレにも理解できるのは、例えば「とにかく清原が好きなんだ」「長嶋さんが好きなんだ」という思いである。それならよく判る。清原がどこのチームに行こうと、清原から目を離さなければいい。或いはひたすら長嶋さんを追っかければいい。セコムすればいい。