チーム不感症・続き

チームを応援するということもこれはなかなか大変らしく、茨の道のようだ。
チームAのファンは、チームAとチームBの試合をチームAの立場から見るわけだ。AファンにとってBは倒すべき敵だ。Aを応援して、Aが勝利すればうまい酒が飲めるのだ。あっ、オレ冷やでいいからすぐ持ってきて。
これが個人aと個人bの対決なら、オレにもよくわかるのだ。ただ、これがチームということになるといけない。応援すべきチームAの中に、嫌いな選手aがいる場合がある。敵であるはずのチームBの中に、応援したい素晴らしい選手bがいる場合がある。そういうケースは少なくないはずだ。
そんなときにもチームとしてAを応援するのが、チーム競技の正しいファンの姿なのだろう。しかしオレは、それではなんだかウソをついているような気がしてAを応援できないのだ。
チームスポーツのファンがウソをついていると言っているのではない。そういったことを呑みこんだうえでAを応援しているのだろうし、呑みこめないオレに問題があるのだろうとも思っている。しかし、Aが勝ってやったーわーいわーいと喜んでいるときに嫌いな選手aが一緒になって喜んでいる姿を見たら、オレはたぶん気分が悪くなるのだ。悔しがっている選手bを見れば共に傷つくのだ。
個人競技には、このテの問題はあまり発生しない。まあマイク・タイソンのことは応援しているけどバックにいるドン・キングが喜ぶ姿はあまり見たくない、というようなことも稀に、というかよくあるのだが、それでも集団競技よりはいらんストレスは少ない。ドン・キングドン・キングで面白いしな。
個人競技は勝敗が選手の自分持ちであるということも、オレがまだ個人競技のほうが見られると思っている原因のひとつだ。どうしてもチーム競技はピントがボヤけているように見えるのだ。だってオレの好きな選手が毎打席ホームランを打っても、ピッチャーがヘボで打たれまくったら試合に負けるなんておかしいではないか。いや、そんなことはチーム競技の複雑さや豊かさの一面なんだろうなとは、頭では思う。しかし毎打席必ずホームランを打つやつが試合に負けうるというのは、オレはどうしても納得がいかないのだ。あいつはいっつもホームラン打ってるのに、なんで負けるんだよ! おかしいじゃねえか! 金返せ! 球場に火をつけろ! ああ、これではアホな小学生の理屈だ。しかし、やっぱりオレはどこか本気でそう思っているのだ。だからチーム競技に金を払う気になれないのだ。