「妖星ゴラス」

妖星ゴラス [DVD]

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この映画をはじめて観たのは中学生の頃だっただろうか。オレは今でもたまに金井さん(久保明)のことを考えることがある。陽気なお調子者として登場した彼が、実は様々な思いを胸に秘めた複雑な、そして決して強くない人間であることがわかるマンションの場面がたまらなく好きだ。
この映画は「ひとりひとりは決して強くない人間たち」が力を合わせ地球を動かすから凄い映画なのである。池部良だって弱気になって白川由美に励まされたりしてる。田崎潤はこの映画の精神的支柱とでも言うべき男気を見せたが、それでも「みんな、よく、がんばってくれた」の「よく」の部分の声が裏返っていた。彼だって死ぬのが怖かったのだ。彼だって決して強い人間ではなかったんだ。それでも彼は強くあろうとしたんだということを知ったとき、人は感動するのではないか。
強くない人間がそれでも強くあろうとする姿は美しい。それはみっともない悪あがきかもしれないし、間違っても「クール」なんて代物ではないが、オレはそういう人間たちへの賛歌をうたった「妖星ゴラス」が好きだ。
これが例えば平均的なハリウッド映画ならば、ひとりの決定的な英雄が登場して人類を救うのだろう。しかしそうなるともう全然別の映画になってしまう。だからオレは「ゴラス」と「アルマゲドン」を並べて出来不出来を云々する以前に、本音の部分ではこの2本はまったくジャンル違いの映画だと思っている。むしろ「アルマゲドン」は宗教映画のパロディとして読むと面白いかもしれませんなー(今思いついたヨタ)。