前田と高田は現代のBIである。オレには、この2人がマット界を二分しているように思える。これは不動明と飛鳥了ばりのド凄い対立概念で、現代を生きる我々はこの2人と同時代を生き、その闘争に立ち会えることを神に感謝しなければならない。そして最終的には、自分がどちらの生き方を支持するかを決断せねばならないだろう。
プオタが何言っちゃってんのププと笑われてもいいが、「前田的なるもの」と「高田的なるもの」の相克は、実は誰の心の中でも起こっている葛藤ではないかと思う。
先日のハッスル・エイドにおけるザ・エスペランサーの誕生、それを目撃したプオタの友人たちのキモい熱狂(羨ましい)を見るに、どうも時代の風は高田に吹いているようだ。
高田がやっていることは、自分の歴史とファンの記憶の切り売りである。それは、前田日明なら決してやらないことだ。なにしろゴングの表紙で「よくも思い出を汚してくれたな!」とか言っちゃう人なのだ。しかし、高田は「歴史を切り売りする自分」でさえひとつの歴史として刻みこんでしまうハレンチさに到達している。より貪欲に「今」を生きているのは高田の方であろう。
2人の対立は、もはや一筋縄では理解できない。BIの頃とは時代が変わった。対立概念ははるかに複雑になった。
もうひとつBIと違う点は、我々はこの2人が兄弟のように仲がよかった頃から見続けてきており、最終的に対立するに至るまでの同時代を生きてきたということである。新生Uの崩壊、大相撲の誰だったか忘れたけど力士の断髪式でのすれ違い、1億円トーナメントと対抗戦話の顛末。安生の前田襲撃事件。高田のヒクソン戦。「貸しはあっても借りはない」、などなど。あれやこれやの果てに、2人はまったく別の人生、まったく別の生き方をするに至ったのだ。この流転の人生劇場の面白さたるや、ハッスルのスキットの比ではない。
現代という時代は、おそらく高田を選ぶのだろう。「今」が愛するのは、より「今」を生きている高田だろう。しかしオレは、自分が最終的には前田を支持し、前田とともに滅んでゆく気がしてならない。実はボクチャンそうすることに吝かではないのである。
- 作者: 梅林敏彦,群雄社出版編集部
- 出版社/メーカー: 群雄社出版
- 発売日: 1983/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 永井豪,ダイナミックプロ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/11
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (23件) を見る