Uはお前なんだよ 「竜とそばかすの姫」

細田守監督の新作「竜とそばかすの姫」。「時かけ」以外の細田作品を毎度毎度けなしているわたくしが劇場で観てきました。けなしながらも観てしまう、イヤミではなくこれは細田監督の力だと思う。本当に嫌いなら観なくなるもんな、神山健治監督作品みたいに。

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いつもの電脳空間、いつもと違うキャラデザイン

以下、ネタバレあり。未見の人は読むなよ絶対読むなよ!

「U」と「竜」が聞き分けづらい (★2)


今作はよく言えば細田守の集大成、悪く言えば使い回しの焼き直しだ。新しいことをやって不評だった「未来のミライ」の後なので、過去にウケた要素を集めてベスト盤にしたのだと思う。わたくしこれが非常に気に入らない。主人公すずが目覚め、ベッドから落ちた瞬間からもう激しく気に入らない。こんな定型芝居、ひと山幾らの深夜アニメで毎クールやってますわ。これを主人公の初登場シーンでやれちゃう雑な神経、かなりまずいと思います。たとえば新海誠先生のやはりベスト盤的な色の濃い作品「君の名は。」においては、ヒロインが目覚めるといきなり自分のオッパイを揉んだのだ、オッパイの感触が観客に伝わる絶妙の作画で。新海先生マジで頭イカレてますわ。ホント凄えよ。歴然たる実力差があります。


細田作品として、今作の新しいところといえば「歌」だろう。歌。ま、歌はいいんじゃないですか。歌はいいねえ(言いたいだけ)。冒頭のララライ、ララライ、ララライライみたいな歌もよかったですね。またキャラクターデザインがジェネリック貞本義行だらけの中で、アバター・ベルのバタくさいデザインは実によかった。毎日お茶漬けで飽きた頃合いにカツ丼みたいな。ララライ。


アバターのベルが美女で本人が冴えん女子高生、という物語の前提はまったく機能していない。なぜなら人類はおおむね、絶世の美女よりも田舎の女子高生の方が好きだからだ(ソース:「君の名は。」)。女子高生が顔を晒すリスクは、当人にとっては大変なものだろう。しかし顔を晒して歌うにあたり、最悪なのは中身おっさんの場合に尽きる。中身おっさんのVtuberにとって、美少女アバターは鎧だ。なきゃ即死。女子高生なら大丈夫、民衆歓喜で楽勝や。ハードルは素顔で歌えるかどうかの内面だけ。だから歌はよくてもクライマックスとしてはちと弱い。テンションがかかってない。


その後は現実とは思えない荒唐無稽な展開で、まあ現実じゃなくてアニメなんだから当たり前なんだけど、観てる最中にそんなこと思いたくないよな。御都合すぎる場所特定。2日放置という児相の謎ルール。小娘をひとりで東京へ行かせる大人ども。DVオヤジをにらみたおすJK。お前は大山倍達か。結局兄弟をどうしたのかの明確な説明なし。困ったもんです。マーでも入道雲で締めればお客さん満足するんやろ? それで「時かけ」ではウケたんや。細田監督、そういうのボカーよくないと思います。