「シン・ちむどんどん」 日本が植民地支配する島で

日本映画専門チャンネルで放送された「シン・ちむどんどん」のRECを観た。プチ鹿島氏とダースレイダー氏が大島新プロデュースで作った「劇場版センキョナンデス」の続編だ。もともとはお二方のyoutube番組「ヒルカラナンデス」があって、いや、説明めんどくさいから各自調査な。

前作「劇場版センキョナンデス」は劇場で観て、面白かった。今作「シン・ちむどんどん」はオレが住む香川の近くで上映がなく観られなかったので、CS放送はありがたい。楽しみにしていたのだが、これが思いもよらぬヘビー級の傑作だった。

映画の前半は2022年9月の沖縄県知事選(現職の玉城デニー知事が当選)を、前作「センキョナンデス」式に取材。後半は米軍基地問題の今を描く構成になっている。以下感想。

辺野古の中山さん

終盤に登場する辺野古ボランティアガイドの中山さんの、このうえなく明晰な説明を聞いて改めてゾッとした。これがあるだけで、値千金の映画だ。 (★4)


中山さんが語ったのは、日本が沖縄を植民地支配しているという事実。


日本国は県民投票の結果を無視して辺野古の工事を進めることで基本的人権、個人の尊厳、住民自治、表現の自由を否定した。


憲法を破壊し民主主義を破壊しているのだから、日本は民主主義国家ではなく、法治国家でもない。


そう語る中山さんの佇まいは平静かつ実直で、子供でも知ってる当たり前の常識を話しているかのようだ。これがキツい。


ここ十数年、この国では至るところで法がねじ曲げられ、人権が踏みにじられている。自分が破滅進行中の国に生きていることを、日々感じている。今年が酷い年で、来年はもっと酷くなると知っている。それは自分にとって膨大なストレスだ。しかし全然そう感じてない人々は勿論たくさんいて、まあボケッと生きてておめでてえことだなと思っている。オレから見える現実は、ざっとこのようなものだ。


中山さんをはじめ沖縄の人々にとっては違う。比べものにならぬほど、彼らの現実は過酷だ。沖縄戦の昔から今に至るまで、沖縄は差別され続けている。踏みつけられている。そんなことないよボク沖縄好きだよーとか黙れ小僧そういう話じゃねえんだよ。国策として差別され、捨て石として扱われている。沖縄は基地だらけだ。それは、お前らは先に死ねという国家からの巨大なメッセージだ。彼らは毎日を、死ねと言われながら生きている。この差別の片棒をオレも担がされているんだ、クソ!


失礼ながら、うちなんちゅーはやまとんちゅーの「炭鉱のカナリヤ」の役を背負わされているように見える。沖縄県民が踏みにじられているように、日本人全体もいずれ踏みにじられるだろう。それはもう確定した未来なのかもしれない。


最後に一応書いておくと、ちむどんどん観てないとか統一教会ズブズブとか、コミカルにいじられていた自公推薦の佐喜真淳(さきま・あつし)候補、こいつ屑の中の屑だからね。自公が送り込んできた候補だ。当選したら秒で沖縄を売る。オレに言わせりゃ人間じゃない自律型ロボットだよ、ルンバ程度の。菅義偉にみっちりプログラムされてる。玉城デニー知事が約34万票で、ルンバが約27万5000票。結果的に差はついたものの、選挙戦のなりゆき次第では本当に危ないところだったんだよ。