テレビ東京「プロレスLOVE」 全日本プロレス中継、最終回

今現在、あらゆるプロレス・格闘技番組の中でオレが一番高く評価していた「プロレスLOVE〜夜のシャイニング・インパクト」が最終回を迎えてしまった。確かにCX「PRIDE」は最高に面白いが、極上の素材に支えられている面も小さくない。テレビ番組としては、限られた手駒で地味ながら途切れないストーリーを根気よく発信し続けた「プロレスLOVE」のほうをオレは断然高く評価したい。それはそのまま、全日本プロレスという団体の姿勢でもある。
番組「プロレスLOVE」が実にすぐれていたのは、これまでのあらすじ、現在の試合とテンポよく見せたうえで数秒間必ず「つづく」パートを入れていた点にある。いわく「嵐はRO&Dに入ってしまうのか!?」、「小島はこのスランプから脱出できるのか!?」、今日ならば「北斗対TAKAは実現するのか!?」など。これまでの流れ、現在、そして視聴者が今後どう興味を持てばいいかを懇切丁寧に、しかし30分枠の中の短い尺できちんと見せるのだ。毎週見ようという気にさせる連続ドラマを、地道に地道に発信し続けたのだ。
これはあまりにも基本に忠実すぎる作り方ではあるが、それがまた全日本プロレスという団体にぴったり合っていたんだよなあ。
「プロレスLOVE」の作り手たちは目先の数字を追うのではなく、「視聴者が会場に行きたくなる番組」を作り続けていたのだ。Vに込められた情報密度も最高レベルで、これ相当編集に時間かけてますよ。地味なので誰も評価しないけれど、この番組を作っているスタッフがテレビマンとして相当優秀であり、心底プロレスを愛していることは疑いようもない。これに比べたらテレ朝「ワールドプロレスリング」(新日本プロレス中継)のさぶいことさぶいこと。番組のクォリティー以前に、作り手の志が低すぎるんだ。とにかく、本当に素晴らしかった全日の地上波放送が終わってしまうのは、マット界にとって大きな損失である。これは痛いよ、痛すぎるよ。氷河期だよ。そりゃ両国に雪だって降るよ。