PRIDE29 2/20 さいたまSA

地上波放送の同録をようやく観た。
絞り込まれたボブチャンチンが素晴らしかった。チェ・ムベの平常心にも感嘆した。
高田本部長は本来のミルコの苦手は超一流のレスラーであり、しかしミルコはそれを克服したとしている。オレの見解は正反対だ。ミルコが本来最も得意とするのがレスラーとの闘いなのである。そんなこと、2度目の藤田戦でもう判っていたことだ。ウォーターマン戦もあったな。レスリングのタックルはミルコに通用しない。
ボヤキングの金原選手はミルコと闘う前、師匠の前田日明に「あのな、タックル行くふりして殴ったったらええねん」と助言を受け、「その手はこないだケビン・ランデルマンがやったばかりなので厳しいと思います」と思ったものの流石にアキラ兄さんにそれは言えず、ミルコに敗れた。しかし図らずも前田日明が看破したとおり、ミルコは普通にタックルして普通に倒せるストライカーではない。
マーク・コールマンのタックルを、驚異的な腰の強さとボディバランスで完封し続けるミルコ。コールマンはパンチも織り交ぜてタックルを狙うのだが、ミルコはランデルマン戦で反省したのか、「タックルと見せかけたパンチ」と「パンチと見せかけたタックル」を瞬時に見分けて対応していた。驚くべき危機回避能力の高さである。特に目を見張ったのがミルコがタックルを切るときにコールマンの脇を差して重心を浮かせ、敵のバランスを崩して全力で突進させないやり方だ。レスラーは、たとえ理想的な形でなくとも相手にくっついてしまうやいなや突進して押し込み、主導権を奪うことが多い。しかるにこの日のミルコはそうさせなかった。地味だが、ミルコの武道的な鍔迫り合いの強さである。コールマンのゲームプランは崩れ、タックルを失ったコールマンはやることがなくなって間がもたず、仕方なく慣れないミドルキックなんかしてた。ああなると、もうどうしようもない。完敗である。
しかしミルコのレスラー対策が完璧であろうと、ヒョードルはサンボの選手でありノゲイラ柔術の選手だ。ともに柔道をベースにした技術の超一流であるこの2人には、オレはミルコは分が悪いと見ている。勿論、ミルコがいきなりハイキックで勝つ可能性は常にあるのだが、それでも分が悪いと見る。