ベルばらに思う

アニメ「ベルサイユのばら」全40話をCSで録画して、先日から少しずつ観ている。かなり昔だが原作は読んでおり、メチャクチャ面白いことは知っている。アニメは断片的に観たことがあった。通して観るのははじめてだ。ざっくり言って前半13話までが長浜忠夫監督、後半19話からが出崎統監督。レジェンド監督2人の演出の素晴らしさについては、評論家・氷川竜介氏の記事がわかりやすい。

animeanime.jp
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アニメ「ベルばら」は、ただでさえ面白い原作をガンガンに膨らませ、無闇に盛り上げ、夥しい情緒を山盛りに盛る、実にクドいアニメだ。面白いにもほどがあるのである。

第13話「アラスの風よ応えて…」には、大いに感銘を受けた。王妃マリー・アントワネットの贅沢を間近で見続けてきたオスカルは、領地の農民の凄まじい貧困をはじめて知って愕然とする。若きロベスピエール(黒髪じゃない方)はオスカルに向かって新しい君主には失望したと言い放ち、宮廷と国民の圧倒的格差を糾弾する。しかし革命以前のフランスに、民主主義はまだない。民衆が望んでいたのは、せめて王政が国民に不当に高い税を課さず、まともに暮らせるような統治をすることだ。しかし王様のルイ16世は錠前マニアのボンクラで、王妃マリー・アントワネットは世間知らずの金食い虫。バカ高い税金は貴族や王族の贅沢に消えてゆく。貧困に苦しむ農夫スガンはオスカルに言う。

「私には判らない。こんなに一生懸命働いてどうして… どうして塩とジャガイモしか食えないのか…」

これって今現在の2020年、働けど働けど貧乏な大多数の日本人の台詞そのものではないか。今これ読んでるお前さんは、自分は貧乏じゃないと思ってるかもしれない。ド貧乏なんだよ! 雇われでも今の2倍や3倍、給料もらったっていいんだ。そのうえ消費税をはじめ様々な方法で少しずつ、しかし積もり積もって山のように金を抜かれているんだ。せ、せ、せ、政治が悪いんだよおお(山田洋次「息子」より田中邦衛)。わしらも自民党ブチ殺して革命すべきなんや。我々はあしたのジョーである!

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ショックを受けるオスカル

面白いのはオスカルが受ける絶大なショックと、出口の見えぬ苦悩だ。後世の我々にしてみれば、この問題の答えは君主制から民主主義への体制大転換、市民革命しかない。しかしそんなの、我々が時間というカンニングペーパーを使っているから言えるだけにすぎない。王政の中で生まれ育ったオスカルの脳内に、民主主義らしき発想はまったくない。いっさいない。オスカルが個人的に知る王と王妃は、決して悪い人間ではないのだ。オスカルはどうしていいのか判らず、無力感にさいなまれる。オスカルには来るべき社会の姿が見えないのだ、知らないから! 知らないものは見えないのだ。知らないものは目指せないのだ。知とは、まったく人類が積み上げてきた偉大な宝だ。それでも時代が課す思考の限界の中で、今を精一杯生きるオスカルたちはやはり美しい。ばらは ばらは うつくしく ちる~ オスカル… オスカール!アンドレ役・志垣太郎の絶叫)

ここで思い出したのは創元推理文庫の「ポオ小説全集」2巻、シャルル・ボオドレエルが書いた解説文「エドガー・ポオ その生涯と作品」の一節であった。

以下引用。

君主が何百万人といて、厳密にいって首都もなく、貴族もいないような国で、造作なく物を考えたり書いたりすることは、難しいに違いない…

エドガー・ポオと彼の祖国とは、同一水準上にはなかったとは確実な事だと、私は繰り返していう。……名門の裔冑(えいちゅう)であったポオ、しかも自国の大きな不幸は、伝来の貴族をもっていなかったという事である。何故なら貴族をもたぬ国民の間では、「美」の礼拝は、遂に腐敗し、堕落し、消滅するより他はないからだ…

これはやたら入り組んだ悪趣味な文章で、引用部分も文中で誰かに言わせている体をとっているが、ボオドレエルのこれが本音であろうことは疑わない。ポオを礼賛する一方で、行ったこともないアメリカと民主主義を闇雲にディスってる。おい、こいつバカだろ。オレは詩が嫌いだからボオドレエルなんて読んだことないけど、お前よーボオドレエル先生がナンボのもんか知らんけどよー、調子こくのも大概にせえよ。だいたいこいつがダンディズムとか言い出したせいで前田日明が変な影響受けてこじらせて、こっちはいい迷惑なんですよ。美は貴族の専売特許ときたよ。なんや、貴族は神で大衆は豚か。フランス革命後のフランス人なのにこの貴族礼賛、驚いたねどうも。こうなると翻訳も気に入らない。「麻呂は、麻呂は繰り返しておじゃるのじゃ」とか公家の口調で丁度いいくらいだ。

でも仕方ない、ぼかー許すよボオドレエル君。ろくな教育受けてこなかったんだよな、時代の限界ってあるよな。アクセスできる情報量も、現代と比べたらないに等しいもんな。民主主義がよく判らなくて、怖くなってついディスっちゃったんだな。許す許す、許します。しかし本当に、知とは偉大だ。オスカルも、たぶんボオドレエルだってバカじゃない。でもよく知らないものは思いつかないし、あっても見えない、判らないんだ。それってよくよく考えると、怖いことだよな。イソジンでコロナに勝つとか、知性ある誠実な人間なら言わないもんな。クソ野郎だったりバカだったりの権力者がウジャウジャのさばっているこの国が、王政時代のフランスをあんまり馬鹿にもできない気がするのだ。この国にはロベスピエールが足りない。そしてろくに知らん詩人をディスってるわたくしも無知無学の檻の中にいるのだということを、肝に銘じるべきだろうな。ボオドレエル先生ごめんなさい。

「ルース・エドガー」 息ができない

近所のシネコンで「ルース・エドガー」。アメリカで去年の8月公開された映画が、ようやく日本にやってきた。これはまさに今こそ観るべき映画でしたよ。土曜夕方の回なのに、観客はオレともうひとりしかいなかった。ヤレヤレ高松だぜ。

ルース・エドガー [Blu-ray]

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Blu-ray 2020/12/2(水)発売|映画『ルース・エドガー』公式サイト

公式サイトや予告編の惹句では、主人公の少年がいい人なんかなー悪い人なんかなーの謎の人物ミステリーみたいに書いてるけど、全然そんな映画じゃないと思ったよ。人間をなめるな、十傑集をなめるなと強く訴える、骨っぽい映画だった。以下感想、ネタバレあるので気をつけて。

黒人差別は当然背景にあるんだが、何よりも「他者の人生を尊重しない」連中に囲まれていることが、少年ルースを苦しめている。全然自由の国じゃない。 (★4)

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オーケイだいたいわかった(わかってない)

コロナウイルスの蔓延から、世の中すっかり様変わりしてしまった。

この2月以来、未知の疫病へのパニック映画的な恐怖、正常性バイアスによる根拠なき落ち着き、志村けん死んじゃった、無能政府への怒りといった様々な気分を反復横跳びのように行き来する日々が続き、続きといってもたかが2ヶ月程度なんだが、わたくしは早くも飽き飽きしてしまった。我ながら飽きっぽい。オーケイわかった、もうええわい。コロナウイルスな。わかったわかった。今後はコロナありの世界で生きるんだな。あるいは死ぬんだな。オーケイ! 遠慮なんかするこたねえって。遠慮されても困るよお前。どうってことねえよ。

コロナウイルスの、感染しても7割か8割は無症状か軽症という「感染戦略」は(ウイルスに戦略たてる知能はないんだけど、まあまあ)、人類の弱点をついており凄いと思う。感心する。厄介だとも思う。しかしですね、極端な例だけどエボラ出血熱なんか発症したら全身の穴から血ィ吹いて9割死ぬんですよ。なんだそれ怖すぎる。問答無用かよ。皆さん「エボラ・シンドローム~悪魔の殺人ウイルス~」とか最高なので観てくださいね。今の時期、NHKで放送してもいいくらいの名画だよ。

なのでエボラが流行ることに比べりゃあ、大したことはない。もちろんコロナでも人は死ぬ。死ぬけど、確率は低い。可能性ということなら人はインフルエンザでも死ぬし、交通事故でも死ぬし、雷に打たれても死ぬし、競馬で負けて死ぬことさえある。コロナで死ぬのは死ぬ人にとっては確率100%なわけで確かに悲惨だけど、まあしょうがないんじゃないですか。上司に文書改竄を命じられて従ってしまった自分が許せずに自殺した財務省の赤木さんの方が、はるかに悲惨でむごい、理不尽で気の毒な死に方だと思う。

もちろんいちばん大変なのは病院なので金と人手を(人手が全然足りない、というのが最も怖いよな)ジャブジャブ突っ込んで、まず医療スタッフがまともに休めて、まともに働けて、いいギャラ稼げるようにすべきだろう。病院とて無い袖は振れぬ。「医者が休んだために自分が、友人が、親が、妻が、子供がコロナで死ぬケースもあるがそれは仕方がない」ということを、我々は受け入れなくてはならない。コロナで死ぬ可能性ありの世界を、今まで通り生きてゆくしかない。我々の世界に新しい落とし穴が増えるわけだが、そもそも以前からこの世界は落とし穴だらけだったのだ。あんまりガタガタ騒ぐことはない。粛々と今まで通り、生きたり死んだりするしかない。

真に深刻な問題はすでにウイルスそのものから、ウイルスに対する社会の反応の方に移っているのだ(いや最初からか)。感染者を差別するなど言語道断。営業自粛しない店舗を責めるなどあってはならぬ。政府の対策は日替わり弁当のようにコロコロ変わり、まあ状況が変われば対策が変わるのも当然なんだけど、そもそも誰にも状況を把握できてないように見える。政府の無能は今回に限ったことではなく、ずっと無能無策邪悪だったのがコロナで露見したにすぎない。ま、我々は文句言いながらじっと耐えがたきを耐え、連中を選挙で殺し、ブタ箱にブチこみ、あるいは実際にブチ殺すしかない。

緊急事態宣言とかどうすんのかね。政府は「こういう状況になれば宣言解除」というゴールさえ決めずに世論に押されてなんとなく雰囲気で宣言してるだけなので、戦略もなければビジョンもなく、ろくな補償すらない。連中には最初から緊急事態宣言する資格も、宣言解除する資格もないのである。こんなデタラメな緊急事態宣言なら、医療体制の強化は絶対だが、ほどほどで解除したほうがいいと思う。この国ではみんな仕事して、カネを稼いで世の中を回して、以前よりは感染予防に努めながら、しかしたまにコロナで死ぬ。そこはもう諦める。コロナ以外でも、熊とかで死ぬ。自民党は殺す。ディテールはいろいろあるだろうが、全体としてはそういう感じだろうなあと思う。

落ち目の日本人らしくモヤモヤと生きながら、もっと悲惨なことになってる他国を少しでも援助できるようになれれば、まずまずじゃないですかね。五輪はやらない。コミケもプロレスも当分できないだろうが、コロナありの世界に合わせて考えていくしかないだろうなあ。でも映画館は開けてほしいんだけどな。

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ぼくとコロナと国と

今まであんまり書かないでいたことを書こうと思う。暗い世相に読むにはまったく楽しくなく、たいへんよろしくない内容であり、しかもクソ長い。ほとんどの方は数行読んだら眉をひそめてブラウザを閉じることだろう。しかし現在非常にやさぐれた気分のオレが、2020年4月にはこんな気分だったと後から振り返るための記録として書いておこうと思う。「バイオハザード」のアンブレラ社研究員の日記みたいなものだ。ゾンビなりかけの男が書く世迷い言なので、あんまり気にしないでいただきたい。マジメに反論されても困るのだ。

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いらいら気分 くさくさ気分

pencroft.hatenablog.com

以前ここに書いた通り、当初よりオレは東京五輪に反対で、東京から四国に移り住んだ今でもやめてけれゲバゲバと思っている。そしてオレの気分とは関係なく2020年2月以降、世界中で新型コロナウイルスが蔓延すると、東京五輪を「中止」あるいは「延期」にすべきという声が囁かれ始めた。

オレは延期はイヤだな消滅がいいなと思っているが、そもそも疫病による五輪中止など予想もしていなかったし、無意識的に望んでいたわけでもなかった。疫病なんか流行らぬ方がいいに決まってる。「もののけ姫」ではないがオウム事件しかり大震災しかり、まったく破滅というものは思いもよらぬ方向からやってくるものだ。ここで「コロナウイルスは人類への天罰」などと言えば石原慎太郎ごっこができるわけだ。

オレは疫病など関係なく、ただ普通に五輪を中止すべきと思っていた。その理由は「醜い」という一点に尽きる。ここまで東京五輪に関して、美しい話などひとつもなかった。ちょっと思いつくまま並べてみようか。

招致のための賄賂。招致決定の瞬間、招致委員会どもの醜悪なバカ騒ぎ。「世界一金のかからない五輪」という嘘。「福島原発はコントロールされている」という大嘘。病的な嘘つきの安倍晋三がマリオのコスプレ。博報堂のサノケン坊やによる盗作エンブレムがお仲間だらけの審査委員会によって一度は公式エンブレムに選出されたという事実。便座みたいな国立競技場の建設を急がせたために現場監督が失踪ののち自殺(遺族が死ぬまで恩給を給付しろ)。ショボい設備の選手村(ホントに「村」だと思って作ってんだな)。IOCに強制的に変更されるまで、焦熱地獄の東京でマラソンさせようとしていた事実。台場の糞尿水にトライアスロンの選手を放り込んで遠泳させようとしている事実。暑さ対策のために朝顔を並べようとしている事実。電通は死ぬほど儲かるのにボランティアは無給。その電通による国家総動員法的なプロパガンダ。やっぱり大会組織委員会に紛れこんでいる秋元康。開会式と閉会式を仕切るのが山崎貴というギャグ。無能な小池百合子。知らんぷりの猪瀬直樹。ボケたフリする石原慎太郎。なかなか死なない森喜朗。

これだけ並べられても「いやあ東京五輪楽しみですね!」と言えるような強靭なメンタルが僕にもあったらなーと時折思わないでもないが、幸いにしてそれほどの恥知らずにはなれそうもない。コロナウイルスがあろうとなかろうと、東京五輪などやるべきではないのである。

今のところ、ウンコ色した為政者たちは東京五輪やるんだという態度を崩していない。ま、そんなもんだ。K-1が潰れる直前まで谷川貞治は「K-1絶好調ですよお」という態度を崩さなかったものだ。出資者へ向けたポーズとしてそのような態度が必要なのかもしれぬ。国や都からは言い出せず、IOCの決断をバカみたいに待ってるのかもしれない。しかし当初の予定と寸分違わぬ形で本当に五輪を開催するとしたらこれはくるくるパーの所業であるし、そもそも不可能であろうと思う。とにかく「五輪やる」という嘘が世間にまかり通っている現状にオレは苛立っている。世の中、五輪以外でも嘘ばかりがまかり通っていて本当に気分が腐る。この真実のない世の中… わたしはその中で木村先輩が真実 力道山を凌ぐ実力者であるならば その真実が勝つべきだ! 真の実力者が英雄となるべきだっ… と信ずるだけです!(「空手バカ一代」より引用でもしないとやってられん)

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東京五輪を象徴するエンブレム

追記

www.nhk.or.jp

国立競技場以外にも選手村で2人、ビッグサイトで1人が死んでしまったらしい。言葉を失うわ…

我々の犬の生活 「パラサイト 半地下の家族」

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パラサイト 半地下の家族 [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/07/22
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「金」というフィクションが人類を苦しめる (★4)


金銭とは人類史上最大の八百長であり、人より金に価値を置く資本主義とは人類への侮辱に他ならない。「お前だって資本主義の経済の中で恩恵を受けているではないか、文句言うな」と言うやつは金の奴隷なのさ。恩恵を受けようが受けまいが資本主義が間違っている事実は揺るがない。人類は繁栄のために間違ったコースを選んだのであって、繁栄してるから正しいとはならぬ。


この映画を観る前は、たぶん藤子不二雄A「魔太郎がくる!!」や荒木飛呂彦「魔少年ビーティー」の一挿話のような「家族侵略乗っ取りもの」かと思っていたのだ。しかし映画を観て連想したのは、福本伸行「銀と金」のカムイ編だった。金にのみ価値を置く金の奴隷たちが王侯貴族のように振る舞い、他者を奴隷にし差別し踏みつけにする社会への怒りに満ちた傑作である。「銀と金」というマンガは資本主義のルールを悪用して資産家から金をさらうことで資本主義への異議申し立てとする奇抜な作品だった。それにしても「銀と金」が描かれたバブル崩壊後の90年代には、持たざる者が知恵と勇気を絞って一発逆転、大金持ちから財産を掻っさらうという夢がまだギリギリ、絵のド下手な福本マンガの中でなら辛うじてリアリティを持っていられたのである。森田鉄雄は、銀さんは、今どこで何をしてるのだろうか。会いたいぜ。


しかるに炭鉱のカナリヤたる世界の映画作家たちが貧困をテーマにせざるを得ない現代はどうだ。貧民は死ぬまで貧民だ。90年代に見た大逆転の夢は消え失せた。60年代の植木等なんかファンタジー。我々が生きる現代は、かつてチャールズ・チャップリンが描いたルンペンの世界に極めて近いものだ。「犬の生活」なのだ。そりゃあ時代が違うから、貧困描写も違います。サムスン持ってるけどWi-Fi泥棒。ピザの箱を折る内職やってるけどピザの出前をとる金もない。文書偽造スキルがあってもパソコンないからネカフェで難民。我々チャップリンが寒空の下で震えているのに丘の上の豪邸でガキンチョ甘やかしてる富裕層は、まあ別に悪いこともしてないし悪意もないし悪気がないのも判るんだが、それでも刺されてやむなしブルジョワジーの一員なんだよな。それなのにこいつらときたら、半地下と深地下で貧乏人同士がくんずほぐれつしてるんだからどこまでも救いようがない浮世のカラクリなんだよな。映画の出来栄えは、SFやらないときは冴えてるポン・ジュノさんのいつものクソ面白いやつでした。

「Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター」

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行け!コア・ファイター

元気のGだ (★4)

2014年から2015年にかけ全26話で放送された『Gのレコンギスタ』は掛け値なしに凄い作品だった。その凄さたるや、御大がアクセル全開で作ってしまったために我々テレビの前のド素人が初見で物語を把握することが極めて困難なほどだった。なんじゃこれ、ワケわからん。そう言って、多くの人々が視聴をやめてしまった。わかりやすい快楽を与えてくれる深夜アニメ群の中にあってGレコは難解すぎた。深夜アニメなんて基本的にはぬくぬくしてて、オタクの自己愛が美少女ちゃんとなって表れて、あーワカルワカルー、イイヨネーそれ知ってるー、仙狐さんに好きなだけ甘えてよいのじゃーなんてことばかり永久に繰り返してるんだ。それは疲れた脳に染み込む砂糖ドバドバの袋小路だ。それはそれでもいいんだけどGレコは全然違うんだ。情報の奔流に呑まれて目が眩むほどに眩しかったんだ。世界は想像より遥かに広い無限であって、得体の知れぬわかりあえぬ他者だらけで、しかしガチャガチャ生きていくんだ。ニュータイプは現し世の夢、リアルは地獄。毎週放送される最新話を二度三度四度五度繰り返し観ることでしか、今この世で何が起こっているのか把握できない。そうしないと猛スピードの御大についていけない。それが複雑極まりないこの世界のスピードなんだ。元気のGだ。オレにとってGレコは全然思い通りにならない、最高にスリリングなアニメだ。これこそが作家の作品、言いたいことを全部ぶちまけてとっ散らかっても構わねえから本当のことをブチかます、描ききれなくても描くと肚を決めてやりきった、本物の中の本物なんだ。要するに何が言いたいかというと、今回映画になって多少わかりやすくなったけど、お前らGレコなめんなよ、元気のGは始まりのGなんだということです。

驚異の旅、その向こう側へ 「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」

予告編を観てからどうしても観たかった「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」であるが、あろうことか文化果つる高松市では上映していない。そこで徳島市ufotable CINEMAまで観に行った。知ってますか、Fateなんとか(観たことない)とか作ってるufotableというアニメ制作会社が建てた、小さな映画館です。

ちなみに中野と高円寺の間ぐらいにあるufotable Cafeは以前ご近所だったのだけど、行ったことはない。よく前を通ってたんだけどなあ、店が開いてんだか閉まってんだかよくわかんないんだよな。

国道11号線スーパーカブ110で高松から徳島へ、休憩入れて片道3時間弱。映画は81分。字幕版と吹替版の2回観た。ああ、これメチャクチャ好きだ。

いかに困難な旅であっても「彼女はきっと力を尽くす」と信じられることが、なんと尊いことかと思う。(★5)

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「HELLO WORLD」の残念さ

この連休はスーパーカブを駆って高知ナイター競馬に遠征したいと思っていたのだが、台風の影響で高知が大雨らしいので断念。ま、また機会はある。いずれ行く。そんなわけで高松のアパートでゴロ寝してたのだが、ふと思い立ってイオンシネマ高松東で劇場アニメ「HELLO WORLD」を観てきましたよ。先日ヴァイオレットエバー外伝を観に行ったのと同様の、どうしても観たい!というわけでもない軽い動機なのだけどアレですよね、忙しい時期なら観なかったようなちょっと気になる映画をひとつ観に行くと、立て続けに他のちょっと気になる映画を弱い動機でも観てしまう、つい映画館に足が向いてしまうような… こういうの… なんて言うのでしょう… この感じ… (ヴァイオレットちゃんごっこ)

HELLO WORLD Blu-ray通常版

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  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: Blu-ray

もっとスケベなアニメが観たいんだ (★2)

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「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」

イオンシネマ綾川にてヴァイオレットちゃん。あの事件がなければ劇場で観ることはなかった筈なので、不純な動機による鑑賞といえる。

ヴァイオレット・エヴァー外伝 (★2)

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